「資産運用」と聞くと「うまく行ったためしがない」とか「今からでは遅すぎる」という人がいる。しかし、本当にうまく行くことが偶然なのだろうか?70歳80歳からでは遅すぎるのだろうか?
資産運用で大切なのは、大口資金を小口資金に分割して、分散投資の手法である「投資する国や通貨の分散」、「金融商品の分散」、「購入時期の分散」、「運用期間の分散」を明確にした運用で、リスク軽減効果を確実にすることだ。
運用に失敗した主な原因で多く見受けられるのは、取引先の金融機関などに勧められるまま、「まとまった資金」を「一時期に運用開始」した例である。日頃からの付き合いもあり断りにくい場合もあるだろう。だが、そんな時もせめて購入額を減らして、期間をずらして数回に分けるなど、冷静に分散投資することを思い出してもらいたい。
また、「自分は既に○○歳だから、もう運用期間が短く手遅れだ」との考えも心得違いではないだろうか。公的年金や手元の資金では不足する生活費を補填するために、蓄えを取崩すにしても、全額をリタイア後数年以内に消費する訳ではない。10年、20年後の生活費部分に充てる資金も大きな金額である。次世代に残すべき財産はどんな資産がベストかという課題もある。
新政権と日銀の政策がデフレ脱却に功を奏するか現段階では分からないが、今後の10年、20年を考えれば、インフレで預貯金が目減りする事態も考慮すべきである。デフレ脱却になれば、同時に預貯金や国債の利回りがインフレに負けることも意味する。物価上昇が意図した通り、インフレターゲットの範囲内に都合よく収まるか定かではない。ハイパーインフレの懸念もあり、インフレ前だからこそのインフレ対策が重要なのである。
30~40代のライフイベント資金も、シニアの老後資金も、緊急予備資金を除いて「比較的運用期間の短い堅実運用部分」と「10年以上先に使う積極運用部分」に分けて考えれば、「今からでも遅くない」ことがわかる。その積極運用部分に、毎月一定額を継続的に投資する積立運用を検討したい。この方法なら購入時期をしっかり分散できる。
2013年、日本はアベノミクスの政策効果を先取りしたような円安・株高により、回復期待が高まっている。このような時こそ、期待先行により足元をすくわれぬよう、資産運用の基本である分散投資手法を改めて意識しよう。そして、実りある資産形成の第一歩を踏み出す、または身の丈に応じてその幅を広げてゆこう。
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