menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第67回「経済に明るさの見える今こそインフレ対策を」

会社と社長のための資産管理講座

日本銀行の異次元金融緩和が発表されて1年3ヶ月が経った。目標の『2年以内に年率2%の消費者物価上昇』を達成するかどうか?いまだに不確実であるが、5月の消費者物価上昇率は消費増税分も含めて3.4%になった。

増税に備えた駆け込み購入に対する反動減が心配されていたが、小売現場では4月の大幅な売上げの落込みから、5月には早くも回復傾向を示す業種が多く、ユニクロのように値上げ宣言する企業まで現れている。どうやら前回97年の消費増税時のような反動減を回避できたように見える。

私たち消費者は、長年のデフレに慣れてインフレの影響を軽視するように懸念される。例えば、年率2%の消費者物価上昇が実現すれば、今後3~4年間に物価が10%超上昇しても不思議ではない。今年3月時点と比較すれば、消費税は5%から8%になり来年10月に10%になれば、消費増税分だけで5%の物価上昇になる。加えて年率2%×3年間で6%、合計11%の上昇になる。

2%の物価上昇が10年間続けば複利で約21.9%。一方、公的年金はマクロ経済スライドという『支給額を抑制する仕組み』が導入されている。現在の調整法を前提とすれば、物価上昇率-0.9%でしか年金は増えない。換言すれば、毎年0.9%ずつ年金価値は物価上昇に追いつかない。そこで、今から資産運用におけるインフレ対策が重要になる訳だ。

今年1月のNISA(少額投資非課税制度)開始により、新しい投資家の株式市場参入が期待されたが、実際は資金の潤沢なシニア層の投資経験者が、制度利用者の大半を占めている。NISAに限った話ではないが、インフレ下で株式は、企業の売上げや利益の増加、固定資産などの価値増加によりインフレに強い順応性がある。REIT(不動産投信)は現物資産である不動産が投資対象であり、金など鉱物資源や原油などのエネルギー資源・食糧資源関連企業などに狙いを絞った株式投信やETFもインフレに強い金融商品だと考えられる。

ようやく明るさの見え始めた日本経済であるが、本格的なインフレ到来前の今こそインフレへの気配りを忘れないように願いたい。

                                      以上

 

第66回「老後の見直しを迫る年金財政の将来」前のページ

第68回「土地資産活用と空き家問題」次のページ

関連記事

  1. 第88回「企業の将来性はESG?」

  2. 第44回「オイルショック再来か?イラン核開発問題の進展にご注意を!!」

  3. 第71回「NISA(少額投資非課税制度)は始めないと損!」

最新の経営コラム

  1. 楠木建が商売の原理原則を学んだ「全身商売人」ユニクロ柳井正氏

  2. 第10講 WILLとMUSTをCANに変える:配属に不満がある社員とどう関わるか

  3. 第147回『紫式部と藤原道長』(著:倉本一宏)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第81回 特別対談:マーケティングコンサルタント 松野恵介氏(第2回/全3回)
  2. 後継者

    第14回 親側の教育 グローバルな視点
  3. 社員教育・営業

    第159回コミュニケーション上手になる仕事の進め方81「仕事の一部ではなく、頭か...
  4. 人間学・古典

    第13回 国の宝とは 威王と恵王の違い
  5. 製造業

    第305号 自社の実力は、モノづくりの6段階レベルで把握せよ
keyboard_arrow_up