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第78号「ゴルフの”~であるべき”を破壊したら!」

米国スポーツ・ビジネスに学ぶ心理学

1ヶ月ほど間の話になりますが、アリゾナ州フィニックスにてウエイストマネージメントフィニックスオープンというゴルフの試合が行われました。 

覚えている方もたくさんいらっしゃると思いますが、日本の松山選手が最終日まで優勝争いに食い込んだとて興奮する試合でした。
さて今回、このフィニックスオープンについて書こうと思った理由は松山選手が活躍したからではありません。もちろん世界で日本人が活躍することは嬉しいことなのですが、それよりもこの試合はとても変わった工夫というか通常のトーナメントと大きく違う点があるのです。

それは16番ホールのパー3です。
通常ゴルフとはご存知のとおり選手が打つ準備が整ったら動くことも声を出すこともマナー上静止します。選手が打つ前になると何千人というギャラリーは動くことも話すこともできなくなり、文字通り静寂な時間となるのです。

しかしこのパー3に限っては選手がOKサインを出せば野球やサッカーの応援のように大声を出して応援してよいのです。もう一度いいますが、「話してよいとか、動いてよい」というレベルの話でなくアイドルのコンサートの様に大声を出してよいのです。そしてグリーンにナイスオンすれば惜しみのない拍手が送られますが、グリーンを外すと大ギャラリーからブーイングが出るのです。また、強制ではありませんが選手達自身もさまざまな形でこのホールを盛り上げます。

自分のグッズをたくさん用意して大歓声を上げているギャラリーに向かって投げる選手もいればキャディー同士にグリーン手前までの短距離走をやらせたり、様々な形でギャラリーを盛り上げる工夫を各々がしているのです。

従来ゴルフとは紳士のスポーツといわれ、マナーに関しては特に日本では厳しく指導されています。 ましてプロの試合で大声を出していい大会など日本ではなかなか成立させることは難しいかもしれません。理由はその様に“昔から指導されてきたから。私はすべての試合で文化とかマナーを破壊した方がよいとは思いません。

しかし現実として今やゴルファー人口はどんどん減少の道を歩んでいます。これは団塊の世代が引退をしてる数に対して新しいゴルファーが追いついていないからです。今年のこの大会でのギャラリー数の合計は56万人でした。56万人です!!ちなみに日本では2万人もはいればまずまずといわれています。これほど異常にギャラリー数が多い理由は言うまでもなく、このお祭りホールがあるからです。

普段はゴルフを知っている人しかゴルフを楽しめないセティングから、ゴルフをしたこともない人たちがルールやマナーを心配しなくても来場できるセティングだからゴルフをしない人たちを呼び込むことに成功したのです。

日本で同じ形が成立するとは私も思いませんが、何か新しい発想を使って新しいゴルファーを呼び込む工夫が必要なことは確かです。そのためには「~であるべき」であるという固定概念を捨てる勇気が必要です。

新しい発想には常にリスクがあります。しかしこのトーナメントのように上手くいった時の恩恵は時代を変えるほどの大きなインパクトを与えます。このトーナメントも最初は絶対に反対した人もいたはずです。

全てのことに対して「~であるべき」という発想を外せたときに今までなかった新しい発想が生まれるかもしれません!

皆さん「~であるべき」というリミッターを外した眼でビジネスを見てください。固定概念を外し、「~であるべき」を外したら、皆さんの世界にも第二のフィニックスオープンがあるかもしれません!!!


 

 

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