賃金管理研究所 所長 弥富拓海
今年も25円引き上げるということは、2年間で50円も最低賃金が上昇する訳であり、これを1カ月の所定内勤務164時間として月給換算した場合、なんと8,200円の引き上げに相当します。「最も単純軽易な作業」で、仕事内容も労働時間も変わらないにも関わらず、これだけ大きく時給がアップするのですから、パート・アルバイトを多く抱える企業の現場にとっては大問題であり、影響は無視できません。
●最低賃金を26円引き上げた結果、東京958円、神奈川956円、大阪909円となり、この1都2県が時給900円を超えています。
●続く12道府県が時給を26円~24円引き上げた結果、愛知と埼玉が871円、千葉868円、京都856円、兵庫844円、静岡832円、三重820円、広島818円、滋賀813円、北海道810円、栃木と岐阜が800円となり、800円超えとなりました。
●さらに15県が25円~24円引き上げ、茨城796円、富山と長野が795円、福岡789円、奈良786円、山梨784円、群馬783円、石川と岡山は781円、福井と新潟は778円、和歌山と山口は777円、宮城772円、香川は766円となり、750円を超えています。
●そして17県の地方審議会が時給24円~22円の引き上げを答申。福島748円、徳島と島根740円、山形と愛媛739円、青森と岩手と秋田と鳥取が738円に、福岡を除く九州6県と高知そして沖縄が737円となりました。
最近、未経験のパートの時給が高騰し、ベテランパートの時給との差がなくなり、モラールを維持しにくくなったとか、月給社員との給料バランスが崩れてしまい悩んでいるといった話を聞くようになりました。少子高齢化が続き、若年労働者の不足、人材の奪い合い、囲い込みが続く限り、採用初任給は高騰し、最低賃金の引き上げは続きます。その都度の混乱を避けるためにも、正規従業員からパート社員まで、それぞれの仕事の評価と処遇のルールを定め、年ごとの変化に対応できるよう備えておくことが必要となります。