2011年も残りわずかになりました。今年を振り返れば 【1】3月11日の東日本大震災・巨大津波そして最悪の福島原発の大事故に始まり、【2】EU金融市場の混乱を受けた海外経済の下振れ 【3】ユーロ安、ドル安、極端な円高に見舞われました。加えて10月には 【4】タイの大洪水により400社を超える進出企業が操業停止に追い込まれています。まさに経験したことのない緊急事態の連続であり、影響はこれからも日本企業に広範かつ深刻な影響を与えると覚悟すべきでしょう。
内閣府は10月の月例経済報告において「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなか、引き続き持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている」として6ヶ月ぶりに下方修正しました。
そんな今年、年末賞与はどうすべきでしょうか。
日本経団連は10月13日、大手企業の2011年年末賞与・一時金(冬のボーナス)の妥結状況(第1回集計)を発表しました。それによると、冬のボーナスの平均額(加重平均)は前年比4.77%増の81万480円。業種別にみると、製造業は前年比5.59%増の80万9313円、他方、非製造業は前年比0.36%減の81万8061円となっています。
この第1回集計で回答した大企業の多くが、春闘で年末賞与を含めて妥結していることを考えれば、納得できる数字かも知れません。
しかし、震災、節電、その後の極端な円高、大洪水の影響等を過小評価できないとする企業も多いのではないでしょうか。これから本格化する中堅企業の賞与交渉は厳しいものとなると予想できます。
私ども賃金管理研究所は諸事情を加味して検討した結果、大企業は昨年に比べ平均で4.5%増、中小企業は逆に平均で3%減と予測しました。
ただし、これらの数字は平均値であり、個別企業における賞与総額は自社業績を根拠に決定されるべきものです。昨年より増額する企業もあれば、より厳しい対応をせざるを得ない企業も出てきて当然です。
さらに賞与総額決定の次に来る個別の賞与金額の決定にあたっては、成績評価制度を正しく運用し、半年間の仕事の成果とプロセスをきちんと評価して、納得できる賞与金額を支給することが大切であり、総和としての仕事力を企業全体で高め、明日につなげていくことが大切です。