スーパーホテル会長の山本梁介氏、未来工業の創業者・山田昭男氏、そしてHRK 社長・岩本初恵氏。
会社の業績を伸ばし続けているこの3 人に共通する点は、重要な経営指標として顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)の前に、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction) を据えていることである。
スーパーホテルは、独自のビジネスモデルによりチェーン展開し、驚きの客室稼働率を実現。昨年の顧客 満足度調査では、帝国ホテルを抑えて最高位のNo.1ホテルに輝いている。
山本氏は、社員のやる気を引き出すために、『働きがい』の創造につながるES を志向し、15 年で顧客満足度の高いホテルに育て上げることで、業績を伸ばしている。
また未来工業は、日本一社員が幸せな会社として、マスコミにも数多く登場している会社だ。営業ノルマ、 残業は一切禁止、定年は70 歳、年間の休暇は有給休暇を除いても140 日。しかも、全員が正社員だ。
創業者の山田氏は「社員がやる気を出して儲かれば、分け前は餅(インセンティブ)にする」といい、「社員をコスト扱いするな」と苦言を放つ。同社は、1965 年の創業以来、一度も赤字になったことがなく、この大胆かつユニークな方針は、圧倒的な説得力を持っている。
そして、先日取材した福岡の化粧品通販会社HRK も、この2 社に引けを取らないほど、ES が高い。ヘル シーメニューを提供する社員食堂やキッズルームは、社員全員が無料で、女性社長ならではのキメ細やかな配慮により働きやすい環境を整え、ES を高めている。
岩本氏が、「顧客サービスを充実させるためには、社員1 人1 人が健康で、笑顔でなければならない」と語っている通り、まずは『社員を幸せにする』ことが重要である。
そして、その成果が『顧客満足』に深く結びつけば、『業績向上』『企業価値アップ』という大きな果実を生み出すのである。