- ホーム
- 社長のための“儲かる通販”戦略視点
- 第226号 100万人
この数字は、今年のビットコイン利用者の予測数である( 国内市場)。このビットコインを代表格とする仮想通貨は、ネット上で取引されている実態のない通貨のことで、世界で600 種類以上が流通。取引所を通じて円やドルなど現実の通貨と交換可能だ。日本国内では、いまのところ値上がり期待による投機的な取引が中心だが、今年5月25日、資金決済法の改正案が可決・成立し、仮想通貨を「物品やサービスの対価に使用できるなど財産的な価値があり、円などの法定通貨と交換できるもの」と定義。それと共に、取引所の登録制やシステム安全管理などを義務付け、消費者が安心して利用できる環境整備を進めている。
一般的に仮想通貨は、クレジットカードより決済手数料が低く、海外から代金を送金したり、海外で買物をしたりする際の利便性が高く、安くて簡単な決済・送金手段として、ネット通販業界でも注目されている。ビットコインというと、2014年当時、世界最大の取引所を運営していたマウントゴックスが経営破たんし、経営者が顧客資産の横領によって逮捕されたことを思い出す。この事件で、仮想通貨に胡散臭いイメージがついてしまったが、2年以上たった今、ようやく利用者保護に道筋がつき、普及に向けて大きく動き出したわけだ。
また先月、三菱東京UFJ銀行が独自に開発中の仮想通貨「MUFGコイン」を来秋、広く一般の利用者向けに発行すると公表したことも、さらに期待感を高めている。利用者同士が手軽にやり取りをしたり、割安な手数料で外貨に交換したりできるMUFGコインは、利用者が同行の口座にある預金を「1コイン=1円」の比率でコインに交換し、スマートフォンのアプリに取り込むなどして使うことができる。
利用者同士はわずかな手数料でコインをやり取りでき、会食後の「割り勘」などでの利用が想定されている。空港で外貨に換えて引き出すこともでき、手数料も大幅に安くなるという。同行は、コインを取り込んだスマホをかざせば現金を引き出せる新型ATMの開発も進めており、2018年春から順次、配備する予定だ。実現すれば、同行に口座を持たずとも、スマホに取り込んだコインをATMで現金化できるようになる。さらに、さまざまな店舗と提携して支払いにコインを使えるようにしたり、ポイント制を導入する構想もあり、将来的には、コインを中心とする「商圏」の構築につなげたい考えだ。これに続き、みずほフィナンシャルグループと日本IBM も、仮想通貨による決済検証で合意したと発表し、6月から取引の正当性を担保するシステムの検証作業を開始している。
このように大手行が仮想通貨を一般向けに発行するのは世界で初めてで、信用力が高いメガバンクの本格参入で、来年以降、ネット通販をけん引役に仮想通貨の裾野が広がると予測されている。