今回は、ビジネスマンにおすすめの小説を紹介します。
それは、フランスの大作家ジュール・ヴェルヌによる
『八十日間世界一周』です。
八十日間世界一周 (岩波文庫)/amazonへ
今から140年前、1872年に書かれた作品で、
日本における最初のフランス語原典からの翻訳書としても
知られています。 ※注) 1878年(明治11年)
映画化されたり、アニメ化されたりもしていますので
そちらでご存知の方もいるかもしれませんね。
読み出すと止めらなくなるほど面白いので
今すぐどうぞ!!!
と言いたいところですが、
なぜビジネスマンにおすすめかの理由も
一応申し上げます。
ポイントは3つ。
1.著者ヴェルヌの驚異的想像力
2.主人公フィリアス・フォッグの立ち振る舞い
3.続きが気になってたまらなくなる、その理由
まず、1番目について。
繰り返しますが、これが書かれたのは、
今から140年前のこと。
1869年にスエズ運河が開通し、これを利用すれば
80日で世界一周が可能になった、という記事をヒントに
本作を書いた、と言われています。
注目すべきは、ヴェルヌの想像力!!
行ったことも見たこともない
インドやシンガポール、上海や横浜などについて
実にイキイキと描いています。
今のようにネットもなく、ましてテレビも
ラジオもない時代です。
ごくごく限られた資料から
イメージを最大限ふくらませたことと思います。
今日、その気になれば、一瞬にして世界中の情報が
山のように入手できるようになりました。
しかし、それらを活かしてきれているとは
到底思えません。
"現代人は情報過多で混乱している"という説も
ありますが、想像力の欠如こそ問題ではないでしょうか。
本書は、物語を楽しみながら、ワクワクしながら
一流の想像力にふれられる、またとない好著です。
続いて2番目について。
主人公のフォッグ氏は、現代的ヒーロー像とは
かなり異なります。
現代の物語の多くにおいて、
ヒーローは欠点を持ちながらも大きな困難に立ち向かい、
どん底に叩き落されながらも立ち上がり、成長し、
最後に栄光をつかむ、といった展開を踏む傾向があります。
一方、フォッグ氏は、無口な変わり者で、
見ようによっては極めて超人的。
いつどんなピンチに陥ろうとも全く動じない。
自分にとって何が一番大事かをよく知っていて、
自らの人生哲学を愚直なまでに貫き通します。
このブレない立ち振る舞いから、ビジネスマンが学ぶことは
とても多いことでしょう。
最後に3番目について。
これは読めばわかります(笑)。
ページをめくるごとに、仕事に役立つ、
人生を豊かにするヒントがたくさん詰まっています!
ちなみに、当時は80日で世界一周なんて
夢のまた夢、でありましたが、
今は80時間で実現できてしまいます。
そのうち8時間で周れる日が来るのでしょうか?
尚、本書を楽しむのに、ぴったりの音楽は
『癒しのチェロ名曲集~「白鳥」』です。
プレミアム・ツイン・ベスト 癒しのチェロ名曲集~「白鳥」/amazonへ
チェロは、人間の声に一番近い音域をもつと言われ、
自然に心と調和していきます。
名チェリストが奏でる名曲の数々は、
80日間にわたる、物語のめまぐるしい展開とも、
主人公フィリアス・フォッグの落ち着いた振る舞いとも、
見事に合います。
ぜひお楽しみください。