特定した狭い地域に集中する戦略
こんにちは1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。経営にはカタチがないので、自分の会社の事業モデルがうまく機能しているかどうか、まったくわからないのが現状です。
事業モデルが、どのようになっているのかを間接的に確かめる方法があります。
それは従業員1人あたりの粗利益を調べてみることです。
各業界平均 粗利益額がTKCのWebサイトで公開されています。
中小企業、1人あたり年間粗利益調べ(資料抜粋 ランチェスター経営 竹田陽一)でもわかりやすくまとめられています。文末に公開しているのであなたの会社の事業モデルと比べてみてください。
ちなみに、2020年7月現在、黒字企業で1社平均従業員17.4人 1社当たり年商3.25億円の全業種平均では「817.9万円」となっています。
あなたの業界の平均粗利益額と比べて上位であれば事業モデルはうまく機能しており、下位であれば、うまく機能していないということになります。
事業モデルの利益性が思わしくない要因はいくつもありますが、その1つは経営のやり方が間違っているためです。
〈チラシは月1回、3500軒に…丸茂工務店の営業地域〉
工務店やリフォーム会社などの場合、利益性の善し悪しは、営業地域の決定が大きく影響します。営業マンの数が少ない小さな会社の場合、営業活動は特定の地域に集中するのです。
特定した狭い地域に対して集中して多くの力を投入すると他社と比べて優位に立てるのです。
・お客さまから連絡があったとき、すぐ伺うことができる範囲。
・住まいのトラブルが発生したとき、
お客さまのもとへすみやかに駆けつけることができる範囲。
こうしたお客中心の考えで営業地域を決めると、早い段階で成果を得ることができるのです。
神奈川県大和市の丸茂工務店の営業地域は3500世帯です。
「2ヵ月に一度ですが、OB客にはアフターフォローをしています。だからあまり範囲は広げられません。
売上を追うなら営業範囲を広げるべきですが、私は地元に密着したい。
車で1時間も2時間も走るようでは、急なトラブルや天変地異など万が一の事態が発生したときにお客さまを守ることが出来ません。
スタッフを増やせば営業の活動量も増やせると人は言いますが、
それではお客さまと広い浅く付き合い方にならざるをえません。
私はお客さまともっと深い関係を築きたいんです。
そのためには、新規のお客さまを増やすことを優先するのではなく、
いままでのお客さま、いま現在のお客さまを大切にしたい。
となると“狭く、深く”です。
3500世帯ほどの地域のお客さまをフォローできる範囲。
それが当社の営業エリアです」
ハウスメーカーと工務店の決定的な違いは、地元密着であるかどうかということです。
規模でもなければ商品でもありません。
ハウスメーカーの社員は異動があります。
「一生のお付合い」を可能にするのは、地場の工務店以外、考えられません。
営業範囲は、一生のお付合いができる範囲で決めるべきであることを、
丸茂工務店は教えてくれます。
この取り組みがお客さまからの信頼を勝ち取ることに繋がっているのです。
〈顧客維持のリピート・紹介対策〉
建築業界では、工事完了後にお客との本当の付き合いが始まると言われます。
事実、顧客維持のための仕組みを整え、継続すれば、お客は繰り返し利用し、リピート購入をしてくれます。
工事や対応に喜んでくれたお客は、リピートするだけではなく紹介もしてくれます。
紹介客はすなわち新規客。したがって、既存客を大切にする会社はお客が増えます。
しかし顧客維持対策を続ける企業は少ないのが現実です。だからこそ、常に新規開拓に多大なウエイトを置き、新規客を獲得するために時間と労力とお金を注ぐ工務店がほとんど。
工事が完了したお客にはハガキを出し、2ヵ月に一回は工務店通信を手渡しする丸茂工務店が「丸茂さんがいてくれるから安心」と言われるのは当然のことなのです。
お客のなかには高齢者もいます。2ヵ月に一回、お客の家を訪問するのは「体調が気になるお客さまもいらっしゃるから」と丸茂さん。
家のみならず、人の体調も気になるのですから、丸茂工務店を“地域のお医者さん”と呼ぶのが、もっともふさわしいかもしれませんね。
お客さまは安心できる業者だからこそ、友人や知人をはじめ身近な人を紹介してくれるのです。お客さまを大切に思うからこそ、お客さまからも大切にされるのです。
お客さまがお客さまをつれてきてくれる。
結果的に利益性の高い事業モデルをつくることができるのです。
中小企業、1人あたり年間粗利益調べ(資料 ランチェスター経営 竹田陽一)より
2020年7月現在、黒字企業で1社平均従業員17.4人 1社当たり年商3.25億円