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第80講 クレーム対応成功の法則はまず『親身的対応7つの手順』で運ぶこと(8)

クレーム対応 実践マニュアル

クレーム対応成功の法則『親身的対応7つの手順』(8)『ラポールのかかる相槌』を打って距離を縮める
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
 

【その1】詳しくお話しをしている間は『ラポールのかかる相槌』を打って距離を縮める。

相槌に「申し訳ございません」や「ありがとうございます」は多用してはいけません。
それよりも相槌のたびに相手の気持ちが冷静になり柔らかくなり仲良くなる相槌を!
相手の状況や心情を言葉にして言う『共感』の言葉を相槌に使いましょう。


『共感』の言葉を相槌に使う事は当り前のように思いますが、クレーム対応の際の共感の言葉は少し違います。「そうですか」や「わかります」や「ごもっとも」や「なるほど」ではありません。『共感』の言葉をひと言言うたびに、お申し出者の気持ちが柔らぎ距離的に縮まる心のかけ橋のかかる、つまりラポールをかける力のある『共感』言葉を言う事が必要です。そのためには、たくさんしゃべっているお申し出者の話しから見えた、その製品を選んだ事情、その製品の不具合で発生したお困りごとや、誰が関わっている事例なのか、いつまでにどうしたいのかという思いを言葉にすることです。つまりお申し出者の心情を言葉にしてあげるのがクレーム対応に効果のある『共感』の言葉です。そのためにはお申し出者のお話しをしっかり聞きとり、ココだ!とキャッチする感性が必要です。


つい『申し訳ございません』を言ってしまわないようにするための裏ワザでもあります。

例えば「それでお買い上げいただいたんですね・・」や「そんなことがございましたか・・」や「お子様が気に入ってくださっているとは・・」や「ご家族皆さんで楽しみに・・」や「お仕事のお役にたっているということですね・・」などの言葉が『共感』の言葉です。あくまでもお申し出者の状況や心情を口にすることであって、事例を復唱することではないことも認識してください。「私の小さい頃から慣れ親しんだあなたの会社の商品を子供にも与えたくて選んだのに」というお話があったら「お客様の幼い頃からですか・・」と言うことです。


【その2】困っているお申し出者は気持が疲弊してるから『慰めたり労ったり』してほしいと思っている。

お申し出者は謝ってばかりしてほしいのではありません。期待通りの商品ではなかったショックな今の気持ちをいたわってもほしいのです。クレームを言っているお申し出者の心は多かれ少なかれ傷ついています。だから『慰労』の言葉を。

大きな声で感情的にしゃべっているお申し出者ほど、今回の事例で傷ついています。冷静にしゃべっているお申し出者は一生懸命、感情的にならないようにこらえています。どちらも心は元気をなくしているものです。だから担当者はお申し出者の話しの相槌に『慰労』の言葉を言う事も必要です。
「それはお困りですよねえ・・」「それは驚かれましたよねえ・・」「それはご不便ですよねえ・・」
「それは戸惑われますよねえ・・」「それはご不安ですよねえ・・」「それはご心配ですよねえ・・」
「それは残念な思いですよねえ・・」「それはご負担ですよねえ・・」「それはご不快な思いですよねえ・・」など、今のお申し出者の気持ちを言葉にして差し出すと、お申し出者はとても気持ちが休まり、冷静になり、落ち着いてお話しができる心境に変わります。


【その3】『共感』の言葉と『慰労』の言葉は違います。その違いは歴然です。『慰労』言葉の方が簡単です。

『慰労』の言葉と『共感』の言葉は同じようですが、『慰労』言葉には明確な特徴があります。『慰労』の言葉に必要なのは、ネガテイブな心理を表した語彙です。

例えば『不便・不自由・不快・不安・心配』や『驚き・焦り・残念・ガックリ』や『負担・戸惑い・複雑』等の言葉です。実はそれらのネガテイブな語彙を「それは」と「ですよねえ」で挟んで使うと十分、相手の気持ちに響く『慰労』の言葉になります。例えば「つい最近買ったばかりなのにもう修理をすることになって」と言われたら、「それはご負担ですよね・・」と使う事をお勧めします。


【その4】お申し出者なりに会社のことや製品のことも考えてくれています。だから『称賛』する。

そもそもは気に入って買った製品やサービスのことですから、お申し出者はもう二度とこんなことが起こらないように願っています。その寛大な気持ちを感じたら褒める相槌を。
温かいお申し出者、知的なお申し出者、納得のいく指摘をするお申し出者には素直に『称賛』言葉を。

お申し出者がたくさんしゃべっている話の中には、少し会社に気を使ってくれている話や、製品を少し褒めてくれる話や、担当者を勇気づけてくれる話や、自分の自慢話などが盛り込まれているものです。その時担当者は「ありがとうございます」と返すくせがあるかと思いますが、そんな時は相手の自尊心が高まるような『称賛』の言葉を相槌に使うようにしましょう。お申し出者にとって、そもそもは気に入って買った製品や契約したサービスに関わる話しですから、たくさんしゃべると製品や契約に一時はわくわくした思いを聞いてもらいたくなるものです。また、こうして指摘しているのも会社のことを憎からず思っているからだということも言いたくなるものなのです。そんな時に担当が理解のあるお申し出者だと思っているという『称賛』の相槌を打つことが必要です。


【その5】担当者の素直な思いを、お申し出者の自尊心を上げる『称賛』の言葉を使って相槌に使う。

例えば「気づかせていただいたと思います・・」「勉強になります・・」「教えていただいた思いです・・」「このお電話がなかったらと思いますと・・」「さすがでございますねえ・・」「すごいですねえ・・」「光栄なお言葉でございます・・」「大変幸運なお電話だと思います・・」「理想的なお客様でございます・・」「まさにご利用者の生の声ですよねえ・・」「ご契約者の本音でございますよねえ・・」など、教わった思いや、相手を褒めることや、お客様のお話しはとても重要なお話しであることなどを言葉で示し、相手の自尊心を高めてください。

中村友妃子          

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