取引企業とのクレーム対応、消費者とのクレーム対応、製品サービス別、メンタルヘルス…「クレーム対応の初期対応法」を学べるCD教材、ダウンロード教材を発刊いたしました。ぜひ、コラムをお読みの方々にご活用いただけましたら嬉しく思います。
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担当者が疲弊しないクレーム対応のためには(1)
(※月刊『消費者情報』2014年12月号の中村友妃子原稿から一部抜粋と加筆)
担当者が疲弊しないクレーム対応のためには、まずクレーム対応での向き合い方を覚えること
クレーム対応窓口の担当者に重要な基本となる考えは、『いかに自分が疲弊しないクレーム対応ができるか!』である。それは「いかにお客様に満足してもらうか」よりも重要な考えだと思っていい。
そのために実際の対応の中で必要なやり方の、根拠ともいえる考えをもつことを勧める。それらの考えを格言で覚えていきましょう。
【1】『責任のある者に権限があり、権限のある者に主導権がある』だから『担当者主導型』で対応する
「対応の主導権は消費者側にある」という考え方は、今の時代にはなじまない。
「対応の主導権は企業側に100%あり、消費者側には0%」と考える方が無理がない。
なぜなら、当然、製品やサービスや契約や対応に対する責任が企業側にあると消費者は信じている。企業側もそのことには異論はないと思う。しかしそれならば、責任のある企業が、その事例を判断し結論を出すということがシンプルな構図である。つまり責任がある者に結論を決める権限があり、権限のある者に主導権があると考えるのが自然である。
ところが、責任を持たない者(消費者)に結論を決める権限があっても良いという暗示にかかりながら、長い時代、企業は消費者対応をしてきた。だから異常に消費者に苦しめられる場面が発生していたのだ。考えようによっては、企業が消費者に迎合しすぎ、結論を消費者にゆだねようとしてきたことが、消費者を混乱させ、傲慢にしてしまったのかもしれない。消費者にとっても身の丈以上の立場にあえいでいるのかもしれない。だから、支離滅裂な論理をふりかざし、理不尽な要求を投げつけてくるとも考えられる。その現象から見ても、消費者に結論を決める権限が備わることは好ましくないのである。
企業は、消費者から好き放題苦情を言ってもらい、たくさんの要望を言ってもらってもかまわない。その話の中からどの対応を断り、どの対応に応えるかを選ぶことは担当者がやることだという頑丈な考えを持つことがクレーム対応担当者の心得の1つだとともいえる。
もちろん、どの対応を断りどの対応に応じるかの選択を誤ると、担当者や挙句の果てには企業がダメージを食うことになるので、選択を誤らないことの重要性は言うまでもない。
【2】『担当者は知らないことだらけの時代』製品やサービスや契約のことを詳しく説明しようとしない
何を断り、何に応じるかの企業としての選択を誤らないために効果的なことは、『即答をしないこと』『結論を急がないこと』『知ったかぶりをしないこと』。
ここで担当者はその製品のことで知らないことがたくさんある職場環境で消費者対応をしていることに着目してほしい。ほとんどの製品はクレーム対応担当者の目が届く場所で製造されることはないし、販売されることもない。
いわば『担当者は知らないことだらけの時代』なのである。しかしそのことを後ろめたく思う必要はない。だって現実であり事実なのだから、それを無理に隠そうとしてはいけない。
だから、自分が理解するための時間をいただくために『即答をしない』、相手から結論を急かされても、 『説得できる結論にたどり着くまで結論を言わない』そして恰好をつけて知らないことを知っていることにしないために『今、よくわからないと言える』ことが、問題を複雑にこじらせないための必要な心構えだ。
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