従来のクレーム対応は、実際のところ企業と消費者の勝敗を明確にするまでがクレーム対応の本質だったわけですが、
今では企業と消費者が歩み寄り握手するまでがクレーム対応の初期対応が目指す着地点です。
対応者がいかに消費者の思いにたった親身な対応ができるかが消費者から要求されているわけです。
なぜそのような対応者の親身な対応がお客様の納得の一助となるかというと、今や、商品やサービスの不具合は
製品価値の獲得を損なったことだけにとどまらない時代となっているからです。
現代の『商品』は機能が果たせていること、味や量が適正であることを『製品価値』とし、
その機能や味が満たされたときの幸福感や、充足感や、満足感を感じていただけることを『付加価値』と考えています。
つまり、『製品価値』と『付加価値』が合体して『商品価値』は構成されるわけです。
そのような中で、買った機械製品が動かないとか、食べようと思った食品に
異物が混入していたなどとよくあるクレームに対して、
私たち企業はこれまでどのような手順でお客様に理解を求めてきたかというと、
3現主義(『現品』を見、『現象』を認識し、該当すると思われる『現場』をチェックする)を行い、
原因究明に取り掛かり、原因を明確にし、その結果、再発防止策を講じることで納得を得ようとしてきました。
しかし、納得が得られない苦しみを何度も味わった担当者がたくさんおられると思います。
ご他聞にもれず私自身もそのような経験をずいぶんしました。
なぜ、製品についての説明材料に欠損はないし、論理もつながっているのに、お客様は納得しないのか?
そう思ったら、もうひとつできていなかったことがあるのでないかと疑ってみてください。さてそれはなんでしょう。
中村友妃子