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第58講 クレーム対応という仕事をやってるからには楽しむ!方法(1)

クレーム対応 実践マニュアル

クレーム対応という仕事をやってるからには楽しむ!方法(1)
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
 

【その1】対応を終えたクレームを『感謝あふれるクレーム対応』にするために

クレーム対応という仕事には、他の仕事では味わえない至福に浸れる瞬間があります。それは、お客様に勝った瞬間ではなく、お客様がわかって引き下がってくださる瞬間です。クレーム対応の仕事は、お客様と分かりあえる感動を楽しむものです。

クレーム対応の仕事は、とても気が重い仕事のひとつではありますが、その分、他の仕事では味わえない安堵の感動がたくさんあります。あんなに、大きな声で怒鳴っていたお客様の声が冷静になっていくのを感じたとき、無理難題を並べ立てていたお客様がバツ悪そうに引き下がってくださるとき、使用者にとってそんな不都合があったのかと新しい問題に気づかされたときなどがその瞬間です。さらに、うまく終結できたときには、「話を聞いてくれてありがとう」や「わがままを言ったようでごめんなさい」や「あなたという人が、対応してくれてよかった」「なんだか気持ちがすっきりしました」と、予想もしなかった言葉がいただけることもあります。その時のあなたの中の大きな感動を、忘れずに思い出しながらクレーム対応をすることが、クレーム対応の仕事に前向きになれる秘訣です。

相手の満足を第一に考えると失敗する

「どうしたらお客様が喜んでくれるのか」を考えてクレーム対応をすることよりももっと大切なことがあります。それはこのクレーム対応をどうしたいかという、自分の気持ちをしっかりと自覚することです。実は、担当者誰もがどんな事情にも左右されずに、無意識に目指している着地はたったひとつです。それは『お客様と分かり合え、自分の心の負担が軽くなること』です。相手のために対応する前に、まず自分の目標のために対応すること。そして、どうすれば目標に近づけるかを考え、言動に移すことが感動を味わえるクレーム対応の第一歩となります。



【その2】『会社に喜んでもらう対応』や『お客様に喜んでもらう対応』をしようとしない。

クレーム対応という仕事では、あなたがあなたのために目標を持ち、さまざまな対応の道具(手法)を使うことが大切。最後にはお客様も会社も自分も爽快な気持ちの解決にする。担当者の自分で自分の疲弊を軽減する方法は、クレーム対応の目標着地点を切り替えることです。

そもそも自分が発生させたわけでもない製品の不具合、契約の勘違いに対して、暴言を吐かれ、大声でどなられ、時には自分の自尊心がボロボロに傷つくようなことを言われるクレーム対応担当者。その苦労を最も理解してほしい会社はというと、どこまで理解できているのか心もとない反応。そんな業務の中で、なにを励みに頑張ればいいのかと自暴自棄になったりしていませんか?
あなたのこの仕事での励みは『お客様が会社や製品の事情を解ってくださって引き下がってくださること』や、『会社が自分たちの収獲したお客様の意見を誠実に受け止め、忠実に製品改善に生かしてくれること』だったりしませんか?
唐突ですがそれが励みであることが間違いです。今日からそれを励みにするのはやめましょう。なぜなら、対応事例のほとんどがあなたの考えているような状態にならないからです。

「あなたに免じて」と言わせることが目標

今日まで『どのような返事をしたら会社は満足するのか』、『お客様が希望する対応をどのように断れば波風が立たないか』など、苦悩をしてきたことでしょう。でも今日からは、お客様のためや、会社のための返事を考えるのではなく、「あなたに免じて許します」と自分に言ってもらうための対応を選んでください。そう言ってもらうための道具(手法)を使って、最後に「お客様、解ってくれてありがとうございます」と素直な気持ちで言える自分を目標にしてください。さっきまで重苦しく複雑だった自分の気持ちをさわやかな気持ちに蘇らせてあげてください。

 

中村友妃子          

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