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社員教育・営業

第57講 クレーム担当者が疲弊しない成功の極意(3)

クレーム対応 実践マニュアル

こじれたクレームを解決する法則 Part2:上級編(3)
(※エスカイヤニュース2012年1・2月号特集 寄稿文より)
 

5.状況をチェンジすれば気持ちも変わる

繰り返し交渉したけれど納得してもらえず行き詰まった場合は、状況を変えてみましょう。相手の興奮、自分の緊張を和らげるのに「ヒートダウン効果のための4つのチェンジ」を試してみてください。

(1)話題を変える
たとえば第54講の初級編(3)でも述べた「数字の仕切り直し」です。「1つ教えていただけますか」「2、3お尋ねしたいのですがよろしいでしょうか」「私に2~3分、お時間をいただいてもよろしいでしょうか」と、数字の入った問いかけをし、話題を変えるチャンスを作り、行き詰まった状況を打開する手法です。

(2)時間を変える
「私の一存では決めかねます」「もう1回改めてお電話させていただきます」というふうに、交渉を一度終わらせるやり方です。実際にその場で判断できないことの回答を迫られ、安易なことを言ってしまうと、話がさらにこじれかねないので、いったん話を打ち切り、改めるという手法です。

(3)人を変える
交渉担当者を、自分から上司など別の人に変えることも効果的です。ただ、相手に「上司を連れてこい!」と迫られてから、受け身的に変えるのはよくありません。交渉する本人が「では、私では力不足のようですので、改めて別の者を連れておうかがいします」というように主体的な判断で、人を変えるのが得策です。

(4)場所を変える
過去2回は店舗で交渉したけれど、交渉が成立せずに3回目の相対交渉が必要になった場合、3回目はお客様宅か、事務所に移すという方法です。前回と同じ場所で行わない。環境を変えてみると気分が変わって、事は良い方向に進むかもしれません。
    
クレームのお申し出者も、とめどなく興奮をしていて、担当者も緊張の中で話し合いは行われていきますので、お互い、口がすべって余計なこと言ったり、言葉が不足していて誤解を招いたりということも再々発生します。そのような事情から、柔らかい言葉で自分の意思を伝えるという、言葉のスキルがとても重要だということを知っておいていただきたいものです。



6.話し合いをたくさんしたけれど、一歩譲歩もしたし、柔らかく話しをしてきたけれど
和解が見えないなら、「今以降は、お任せいたします。」


通常、ここまできちんと対応していれば、標準的なお客様なら引き下がってくださることが多いわけですが、どうしても引き下がっていただけないお客様もいます。そんなお客様とは、交渉を打ち切り、お別れするしかもう方法はありません。エスカレーション対応において、辛抱強く3回程度、時間をかけて交渉を行ったけれど、和解に至らない場合はもう、和解に至らそうとしないことです。何を言っても和解しない、何を提案しても和解しないと言う結果が濃厚となった場合は、「これ以降は、お客様の考えで行動なさってください」という考え方に、切り替えてください。つまり、交渉を打ち切ります。正しい言葉遣いは「これ以降はお客様のご厚意にお任せするしかございません」です。
 この時点で二次対応から次に三次対応に移るわけです。

三次対応とはお客様が消費者生活センターや弁護士などの第三者に相談を持ちかけることですが、そうなればもちろん、第三者からの連絡を待ち第三者の指示、指導のとおりに動くことになります。二次対応まで、基本通りの対応をしていたのであれば、第三者の指示や指摘、指導を怖がる必要はありません。客観的に受け止め、報告や改善に勤めれば良いのです。

 

中村友妃子          

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