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第22講 カスタマーハランスメント対策の実務策⑨

クレーム対応の新知識と新常識

苦情と問い合わせを受付ける『カスタマーセンター』『お客様センター』『お客様相談室』は相手の『非通知』『公衆電話』『コレクトコール』の電話を取るのはやめましょう。

 苦情と問い合わせを受付ける『カスタマーセンター』『お客様センター』『お客様相談室』は、お客様からかかって来た電話のナンバーデイスプレイに『非通知』と出た場合、その電話を取ることはしないようにしましょう。

 それは、お客様に失礼なのではないかと考える必要はありません。『非通知』設定になっているのには、なにか作為があるからです。その作為は、企業にとって良くない作為かもしれませんし、特段、影響のない作為かもしれません。そのことをかぎ取るために、まずは『非通知』の電話に対応をしないことが定石です。

 いきなり電話に出ない、鳴っている電話を無視するという方法を取る前に企業として、やるべきことがあります。

 それは、『この電話はつなぐことができません。電話番号の頭に186をつけておかけ直しください』という音声ガイドを流すことが、非通知を拒否するための手順です。

 その音声ガイドにより、自分の電話が非通知設定にあることを初めて気づく方もいらっしゃるでしょう。近頃は、高齢の親の携帯電話の着信表示を『非通知』にしているという身内の方もたくさんいます。なぜなら、高齢の親が、見境なしに自分の考えのまま、外部に電話をすることにより、親の電話番号が相手にキャッチされてしまい、事業者はそのキャッチした電話番号にアウトバンドセールスの電話をかけるという流れができてしまうからです。その結果、高齢者が断り切れずに不必要な契約をすることに至る可能性があるからです。この事業者が悪質事業者なら、もっと悲惨なことになります。そのようにトラブル発生の可能性を先読みして、電話番号を相手にわからないようという目的で、『非通知』設定にしている方もたくさんいます。

 また、常習的に難渋なお客様がかけてきた電話には、4回目の対応からは、その電話を取らなくて良いという手順がクレーム対応にはあります。その場合、相手の電話番号がわからなければ、取ってしまうことになり、難渋な相手の対応を遠ざける手順を実行することが不可能となります。

 『この電話はつなぐことができません。電話番号の頭に186をつけておかけ直しください』という音声を流すことで効果が表れることの1つは、「それなら、もう、いいや」と思って電話対応を放棄してくれることにあります。良くない作為をもって非通知設定をしている人もいますので、その人たちの悪い行動への動機を削ぐことができるというわけです。逆にいうと、相手は、そういう点で、ゆるい企業が、不当な客を防御する意識が高い企業かを図ってもいます。後者なら、もう自分から無駄な交渉はすることはやめようという動機になります。

 企業は、自分達を、自分達で守る。そのために社会はいろんなシステムや、仕掛けの仕方を用意しています。それをしっかりと使いこなすことが、カスタマーハラスメントに合わない会社にするために必要なことです。

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