苦情と問い合わせを受付ける『カスタマーセンター』『お客様センター』『お客様相談室』は「お電話ありがとうございます」と言って会話を始めるのはやめましょう。
お客様からかかって来た電話をとった時に「お電話ありがとうございます」ということについてです。苦情を受付けたり、問合せを受付たり、修理を受付けたり、保険金の手続き開始を受付けたり、契約の解約を受け付けたりする『カスタマ―センター』『お客様センター』『お客様相談室』では、鳴った電話が取った時に、「お電話ありがとうございます」と言うのをやめましょう。その理由は2つあります。
理由の1つ目は、実際、ありがたい内容の電話ではないのに、「お電話ありがとうございます」というのは、詭弁(誤っていることを誤りではないように聞かせること)だからです。あなたの受ける電話の目的の範囲を想定して、それに合ったトークを使いましょう。
本来、お客様のご不満を受け付けるお客様相談室の電話を取った時に「お電話ありがとうございます」というのは、「クレームをいただくことありがとうございます」と言っていることになります。でも現実的には、クレームや問合せを受ける部門の担当者にとって、それらの内容の電話がかかってくることはありがたいことではありません。そのクレームがありがたいかどうかは、そのクレームを聞いてから、クレームの内容を理解してからです。理解した結果「このクレームを言ってくれなければ、企業として気づかなかったことだったから企業として助かったわ」と言えるクレームなら、「ご指摘ありがとうございます」と言うことができます。なので、クレームの内容がわからないタイミングなのに「お電話ありがとうございます」と言うことは、正しい対話になっていないのです。
次に理由の2つ目です。ほとんどの企業では、お客様と電話がつながるまでに音声ガイドが流れているはずです。「この音声は、応対品質のためや、正しくご依頼情報を把握するために録音しております」という音声ガイドです。この音声ガイドが終わるのをお客様は待っています。そして、やっと、担当者と話すことができます。ですので、担当者につながれるまでに音声ガイドが流れるシステムになっている企業の担当者は「おまたせいたしました」と言って、電話に出ることになり「お電話ありがとうございます」は不要な言葉となります。
つまり、「お電話ありがとうございます」と言って電話に出ることがふさわしいのは、受注のためのコールセンターだけなのです。だって、お客様の1本1本の電話が売上だからです。そのようにしっかりと認識して、挨拶をしてください。
なんでもかんでも、下手(したて)に出ることが好ましい時代ではありません。精神的にではなく、現象に合わせて理にかなったトークや対応をすることが、相手に上げ足をとられないスキルと言えます。