(1)日本の経営 今の大きな課題は何か?
1) 働く人の母体人口が急減少
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると
生産年齢人口(15から64歳の人口)は
1995年が、8716万人でピーク
そこから年々下がり続け、
20年後の
2015年には、7628万人で12.5%も減少している。
実に、1087万にも働く人の母体人口が減っているのだ。
https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp29_gaiyou.pdf
2) 人口減少のカバーを女性と高齢者でカバー
前述のように、働く人が減ったので、
日本の経済が回らない
そこで、女性と高齢者でカバーをしてきた。
内閣府の「日本経済2021-2022 成長と分配の好循環実現に向けて」より
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2021/0207nk/pdf/n21_3.pdf
によると
男性の正規雇用は
2013年比、25歳から44歳が大幅に人数減少し
そこを、65歳以上と、女性が大幅に
就職をして日本全体としては
働く人の人数をカバーしている。
3) 今後は、もう増加を望めない
女性の労働力増加は、もうこれ以上は望めなさそうだ。
男女共同参画白書 令和3年版
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r03/zentai/pdf/r03_genjo.pdf
によると
年齢別の女性労働割合は
M字カーブといわれるように
結婚、出産、子育ての時期に
働かなくなり、子育て終了するとまた働く。
1980年では
20~24歳は、75.4%
25~29歳が、49.2%
30~34歳が、48.2%
その後、また率が上昇する
若いとき高く、中間で下がり、また上がるので
M字カーブと言われるのだ。
それが、
2020年になると
20~24歳は、75.4%
25~29歳が、85.9%
30~34歳が、77.8%と
ほぼ落ち込まなくなった。
つまり、子育て中の人も働いてもらおうという
余力はなくなったのだ。
専業主婦も減少している。
1980年 専業主婦世帯は、1,114世帯
共働き世帯は、614世帯
それが、
2020年では、専業主婦世帯は、571世帯
共働き世帯は、1,240世帯
になっているのだ。
割合がこの40年で逆転した。
もう余力は無いのだ。
この先、働く人口が減少する中どうしていくか?
それには、
・集中力をアップし、生産性をあげること
・定年延長をすること
これが、必要になってくるのだ。
実は、集中力アップも、定年延長も
健康だからできること。
4) 会社内の健康とはどういうことか?
病気ではないが
不健康は会社の費用がかさむ
会社を休むのが、健康ではないという考えではなく
出勤しているが、調子が悪い人が
これから重要な対策相手になっていくのである。
5) アブセンティズムとプレゼンティズム
アブセンティーイズム(疾病により欠勤している状態)
と
プレゼンティーイズム(何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況。例えば、花粉症で仕事の効率に影響が出ている方はイメージしやすいのでは)
というのがある。
アメリカでは、プレゼンティズムで、年間15兆円損失と算出され
日本では、プレゼンティズムを解消すれば、
1人年間30万円利益アップすると算出された。(経済産業省の調査)
プレゼンティズムの問題が引き起こされる理由として、
驚異システムに晒されているからと専門家が言う。
従業員に自由が与えられないのは、会社に対しての不平不満がたまる要因になりえますし、頑張っても報酬が上がらなければモチベーション低下になる
ハイブリッド(会社とリモート)の広がりとともに、
ストレスの軽減などで従業員満足度が増す傾向もみられる。
一方で、仕事の柔軟性が足りないと感じる人の72%は転職を考えている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD039MB0T00C22A2000000/
このように、出勤はしているが
いろいろなところが調子悪いことが集中力を妨げ
それにより、経済損失になっている。
その、プレゼンティズムによる、不調のコストは
健康経営の発祥国、アメリカでは実証と研究が進んでいる。例えば、アブセンティーイズム(疾病により欠勤している状態)よりも、目に見えにくいプレゼンティーイズム(何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況。例えば、花粉症で仕事の効率に影響が出ている方はイメージしやすいのでは)による損失の方が大きく、労務費の中で最大のコストであると言われ、Dow Chemicalでは人件費の7%に相当するという。また、Johnson &Johnsonによる試算では、健康経営への投資$1に対して$3のリターン(効用)が見込めるとの報告もある。3倍の投資効果は特筆ものだ。 そして株価の検証においても、1999年~2012年の間に優良健康経営表彰企業は株価が約1.8倍となっており、S&P500インデックスの約1倍を大幅に上回るパフォーマンスを上げている。
と、なっている。
これから、働く人を豊富に採用できないのなら
今いる人を辞めないようにすることと
調子が悪い人(プレゼンティズムの人)を
よくしていくことが重要になっていく。
WHOの健康の定義にもあるように
健康は、身体的ではなく!
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、
(physical, mental and social well-being)
すべてが満たされた状態にあることをいいます。
(日本WHO協会訳)」
不調から脱却して始めて健康であり
それが、
生産性を上げ、定年延長にもつながると考える。
不調から脱却するために
仕事のストレス解消できる
セルフ・コンパションが開発された。