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税務・会計

第37号 親が相続を語る時

会社を守り抜くための緊急対策

 子どもたちから親に相続の話をすれば「お前はわしを殺す気か!」と反発されることも多いでしょう。
 でも、親の財産(資産―負債)の金額がわからないと相続はうまくいきません。この場合、子供はどうすればいいでしょうか。どうすれば親は、財産の計算をしてくれるものでしょうか。

◆親が相続を語る時
 ここでは、相続について考えていきます。相続税の増税が行われるからです。
 相続と言えば、いつも、相続税をどうすれば安くできるかという話が出ますが、ここでは少し視点を変えてお話しします。
 さて、親は財産の計算をしてくれるものでしょうか。いくつかのケースで対応策を考えてみましょう。
 □親が会社の社長で子供が後継者の場合
 □親が定年退職している場合
 □親がまだ現役のサラリーマンの場合
 □親が自営業で子供は後を継がない場合

◆親が会社の社長で子供が後継者の場合
 中小企業にお金を貸す場合、社長の財産の状況を把握し、社長の不動産などを担保に入れることは通常のことです。
 つまり、中小企業の場合は、会社単独というより、社長と一体と見ているのです。
 これは、別の表現をしますと、会社のバランスシートだけではお金は出ないということになります。社長のバランスシートを加味しているということに他なりません。
 なぜなら、それが中小企業を客観的に見る上で一番正しいからです。
 この話は以前にもしていますが、再度、お話しします。
 会社のバランスシートと社長のバランスシートを合算(会計的にいえば連結)します。もちろん、その際、会社と社長との債権債務は相殺消去します。また、社長の出資と会社の資本金も相殺消去します。
 これによって作成されたものが「中小企業の連結バランスシート」なのです。
 中小企業は、会社のバランスシートだけで判断してはいけません。中小企業の連結バランスシートで判断することが一番正しいのです。
 ちなみに、会社単体のバランスシートが悪くても、社長のバランスシートが良ければ、連結バランスシートはいいはずです。
 しかし、一度、連結バランスシートが債務超過状態になりますと、中小企業の経営は困難になってきます。
 中小企業は誰も助けてはくれないからです。助けてもらえないばかりか、連結バランスシートの状態が悪ければ、みんな手を引いていきます。つまり、回収にかかってきます。それにより、倒産も早くなり、再起は困難になります。銀行は、漠然とではありますが、連結バランスシートの状況を把握しているものです。
 連結バランスシートを作成することで、経営も連結バランスシートで判断することになります。
 前に、仮払金、貸付金、投資は会社を滅ぼすという話をしました。連結バランスシートにこの3つが登場しますと完全にアウトです。
 会社のお金で投資をしていなくても社長個人の資金で投資をしていれば連結バランスシートに記載されます。
 会社において領収書を切れない相手と付き合っている場合に計上される仮払金は問題になるため、どうしても金銭の提供が必要であれば、社長が身銭を切るか、会社が社長に貸し、そのお金を先方に渡すことが一番いい方法です。
 なぜなら、そうすれば、このような支出は連結バランスシートには記載されないからです。

◆中小企業が作成すべき連結バランスシート
 この中小企業の連結バランスシートが一番、経営情報として正しいのですから、すべての中小企業が作成すべきものですが、実際はなかなか困難なようです。
 この連結バランスシート作成の決め手は、社長が自分のバランスシートを作成するかどうかにかかってくるからです。
 もともと会計に弱い社長が多い中小企業ではなおさらです。
 会計の重要性を知っている社長は、連結バランスシートの効果を判断でき、自分のバランスシートの作成を試みます。
 しかし、まだまだ壁が立ちはだかります。誰に相談していいのかわからないのです。
 社長のバランスシートは極秘情報です。どこまで資産・負債に計上していいのか、なかなか判断しがたいのです。
 ましてや、ひそかに女性にお金を貸していたり、マンションを買っていたりすればなおさらです。
 しかし、ご安心を。
 社長のバランスシートを作成することで、過去の清算がすっきりと出来るものです。例えば、女性に出したお金は、貸付ではなくあげたものにすれば、社長の資産にはなりません。
 社長名義で車やマンションを買っている場合は、そのままでは社長の資産になり、後で間違いなくもめるはずですから、早いうちに名義を女性に代えておけば、社長のバランスシートには記載されません。この際、借金も思い出しておきましょう。連帯保証はありませんか。
 社長のバランスシートを作成することで、結構、整理ができるものです。
 しかし、この作業をたった一人でできますか。現実、なかなかそうはいきません。そんなとき、誰か相談できる人がいるでしょうか。
 やましいことがあれば猶更でしょう。
 これが社長のバランスシート作成を阻む大きな壁となっています。
 しかし、しかしです。
 もし、明日、亡くなったらどうしますか。死んだ後のことは知らないですまされますか。残された家族のことが憎ければそれでもいいでしょう。家族のことを思えば、あとから、変なものが出てくるよりはいいのではないでしょうか。
 これは終活では決してありません。前向きに社長のバランスシートを作成するのです。
 あくまで中小企業の連結バランスシートを作成する目的で。
 これだと「お前はわしを殺す気か!」とはならないでしょう。それでもそう考える人は事業をやめた方がいいかもしれません。

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