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税務・会計

第79号 BS「格言」 其の二十五(3)

会社を守り抜くための緊急対策

其の二十五

予算・目標はバランスシートから作成すべし(3)

 

 今回は、損益分岐点分析で使用します「損益分岐点の位置」のお話です。
 
79-1.jpg
 売上実績が1,000円で、損益分岐点の売上が800円とした場合、損益分岐点の位置は80%であるといいます。
 ということは、損益分起点の位置が100%であれば、その売上(この場合、800円)では利益が出ないことになります。
 つまり、損益分岐点の位置は、低ければ低い方が経営的に安全ということになります。
 資金収支分岐点は、この損益の資金版になります。
 
 資金収支分岐点の算定の仕方を少し詳しく書いてみます。
 
79-2.jpg
 
 製造業の場合、分母を限界利益率としますと、分子の人件費には、製造上の労務費の支出を、また、その他の営業支出に製造経費支出を加算しなければいけません。
 
 資金収支分岐点を少しでも下げるためには、分母の粗利益率を上げるか、分子の支出を抑える以外にはありません。
 
79-3.jpg
 ここで、ある程度、ざっくりで構わないので、目標とすべき資金収支分岐点の位置を考えることになります。
 そして目標とすべき資金収支分岐点の位置を設定した後に、目標の営業収入を算定し、最終的に、目標の売上高を算定するためにはどうすればいいのかを考えます。
 
 この計算は、損益計算書、バランスシート及びキャッシュフロー計算書の関係を知らなければできません。ちなみに損益計算書及びバランスシートからキャッシュフロー計算書(直接法)を作成するプロセスを式で書くと次のようになります。
 
   【損益計算書】       【バランスシート】      【キャッシュフロー計算書】
     売 上   + 期首売上債権 ― 期末売上債権  =    営業収入
 
 たとえば、期首バランスシートにおける売上債権を1,000円とし、期末バランスシートの売上債権を600円とします。そして1年間の売上が1,800円である場合の年間の営業収入額を計算してみますと、
 1,800+1,000―600=2,200円になります。
 ということは、逆算で、営業収入が決まれば売上は次の式で決まることになります。
 
  営業収入2,200+期末売上債権600―期首売上債権1,000=売上高1,800
 
 これで目標となる営業収入が決まれば、目標とすべき売上が確定します。
 たとえば、資金収支分岐点の目標とすべき位置を80%とした営業収入が4,000となった場合、この4,000より高い数値目標が望ましいことから、その金額を4,500に設定するという感じで計算していきます。
 そして、目標となる売上高を次のように算定します。
 
  目標営業収入4,500+期末売上債権600―期首売上債権1,000=目標売上高4,100
 
 この式で算定した売上高は、損益分岐点で考えた売上高とは異なっており、借金返済がある場合は、損益分岐点で考えた売上高より高くなっているはずです。
 
 このようにして、損益分岐点及び資金収支分岐点の売上高を参考にしつつ、目標とするバランスシートを達成すべき営業収入と売上高を確定していくことになります。
 
 とはいうものの、そんなに簡単には作成できません。
 なぜかと言いますと、やったことがないからです。
 一度、経験すれば、誰だってできます。
 最初はトップ、経理担当者、会計事務所の三位一体で作成してみましょう。
 理解しない会計事務所は契約を解除した方がいいくらいです(笑)。
 
 
 
 
 
 

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