ヒト・モノ・カネ…限られた経営資源を上手く活用しながら、会社の利益を向上させていくことが、社長の役割。そのためには自社の現状を見つめ直し、経営を効率化する「業務改善」が欠かせない。しかし、「実際には何をすればよいのかわからない」と、実行したくても足踏みしてしまう現状がある。その問題を解決すべく、10年間で総額1兆円の事業改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現した横田尚哉氏が「利益を最大化する業務改善」の順序を公開する。
前回お伝えした「顧客ニーズ」に加えて、業務改善に欠かすことのできない、もうひとつ重要な要素があります。それは《対応速度を上げる》コトです。
事業における速度には、2種類あります。1つは「推進する」速度、もう1つは「対応する」速度です。車で言えば、「アクセル」と「ハンドル」です。この2つは、時代によって切り替える必要があります。「安定の時代」には推進速度が、「変動の時代」には対応速度が必要なのです。
今は「変動の時代」です。つまり、《対応速度を上げる》コトに注力するべきです。
中小企業の強みは対応速度である
私は、中小企業の強みは「対応速度」だと思っています。中小企業のほうが、変動する顧客ニーズに素早く対応できます。大企業のように事業規模が大きくなると、細かく方向転換するのが困難になってきます。それは、走行スピードを下げられず、カーブを曲がり切れない車のようなものです。中小企業は、スピードを下げ、機敏に方向を変えることができるのです。
もちろん、事業規模だけで決まるものでもありません。大企業の中には対応速度の速いところもあれば、対応速度の遅い中小企業もあります。扱っている商品や市場の違いにより、事業環境は大きく異なるものです。
しかし、大企業には、組織が大きいという弱点があります。現場担当者と意思決定者との間に多くの人が関与するところです。また、組織が細かく分かれることで、組織をまたいだ連携や調整が足かせとなったりするところも弱点となります。
その点、中小企業は、《対応速度を上げる》のに有利な事業環境だということです。現場担当と意思決定、組織と組織の距離が近いのです。その強みをより発揮できるように、資源を集中することができれば、良い方向に向かうということです。
ここまでをまとめると、利益を最大化するためやるべき行動は、まず《リソースの余裕を作り》(第1話)、次にそのリソースを、《顧客ニーズを捉える》(第2話)と《対応速度を上げる》に集中させるコトです。
それでは、《対応速度を上げる》ポイントをお伝えしたいと思います。
1
2