◆ 盆さいや◆ 「気軽に学べる場をつくる」 |
"おじいちゃんの庭いじり"。 そんなイメージがあった「盆栽」が、20から30歳代の間でブームになっている。 ピアスをした若者が、お手軽なミニ盆栽をインテリアとして飾ることは、今や珍しくない。 このブームの火付け役の一つが、東京・恵比寿の「盆さいや」。 盆栽販売店とバーを合体させた"盆栽バー"だ。 この店を経営するのは、盆栽の卸を手がける(有)ボンサイアート。 2001年3月に開店し、現在では、20から30歳代の女性を中心に、若い男性や学生、シニアなど、 幅広い層の客が訪れている。大半はリピーターだそうだ。 マツ、サクラ、モミジ、カエデ…。 店内には、20種類ほどのミニ盆栽が置かれている。 店内は、欧米風のモダンインテリアと和のインテリアを融合させた、今風の雰囲気。 とはいえ、テーブルの上に盆栽とカクテルグラスが同居していると、意外とさまになる。 盆栽が現代のインテリアにも溶け込むことを実感できる。 お酒を飲みながら、盆栽を眺めたり、めでたりしていれば、愛着が湧いてくるものだ。 店に置かれたすべての盆栽は商品であり、客は好きな盆栽を買って帰れる。 ミニ盆栽といっても、盆栽の育て方は難しく、挫折することも多い。 そこで、同店では、「日当たりは良いか」「帰宅は遅いか」と客のライフスタイルを聞きながら、 その人に合った盆栽の選び方や育て方をレクチャーしている。 購入後、分からないことを聞きに来た客にも、気軽に教えている。 客の立場から見れば、何も買わずにアドバイスを求めるのは、少し気が引けるものだ。 しかし、この店だと、タダでアドバイスを求めるわけではないので、気がねが要らない。 また、うまく盆栽を育てられれば、誰かに自慢したくなるものだろう。 実際、盆栽を買った客は、その後も、盆栽持参で何度も来店するという。 こうして「盆さいや」の客は、本物の盆栽ファンに育っていくわけだ。 もちろん、店側から見れば、リピーターを増やすことで、売上が安定する。 だからこそ、競争の激しい恵比寿で、5年間店を続けてこられたのだろう。 「何か習い事をしたい」と考えている人は多いが、一方で、教室に通うのをおっくうに感じる人も多い。 時間に縛られたり、固定的な人間関係に気を遣ったりするのがわずらわしいのだろう。 そんな人にとって、自分のペースで学べるバーは、うってつけの存在であるわけだ。 最近は、盆栽に限らず、日本文化への注目が高まっている。 歌舞伎、能楽、華道、武士道…。潜在需要を掴めそうなアイデアはたくさんありそうだ。 盆さいや 東京都渋谷区恵比寿西2-8-9代官山宝ビルIII 4F TEL:03-3464-7377 最寄り駅:JR・地下鉄「恵比寿」駅から徒歩5分 URL:http://www.alles.or.jp/~bonsai/ |