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戦略・戦術

第79回『人口減少時、中小企業の戦略が見えてきた!』 ~ヨーロッパ視察でわかった。人口が少なくてもできるビジネス~

継続経営 百話百行

(1)視察の訪問先と人口など

1)なぜ視察に3箇所以上行くのをお勧めするか?

学ぶのなら、人間は比較するとわかりやすくできているので
必ず、3つ同時に比較するのが良い。

何かを提案するにも
1つの提案だと、保留かNOになることが多く。
2つの提案だと、AかBと、NOが出てくる。
3つの提案だと、ABCどれかを選ぶ。

レストランなどで
松竹梅や、Aランチ、Bランチ、Cランチがあるのも
選びやすいから。

それは、人間
1か2だと選びにくいが、3だと選びやすい
つまり比較しやすいのだそうだ。

比較することでどういう違いか学びやすい。

なので
視察行くなら、3都市以上は必ず行く。
実際、私の視察はそうしいている。

今回は
3カ国 6都市を視察した。

スペイン ビルバオ
フランス ボルドー、オルレアン、シャンボール、ラ・ロシェル
ドイツ ミュンヘン



ヨーロッパ視察ダイジェスト映像

2) 訪問国の人口・GDPなど

このラインより上のエリアが無料で表示されます。



ヨーロッパは、一つ一つの国が、日本より人口はかなり低い。

3) 訪問都市

4) 日本の人口順位は下がりつつある

国連データ
日本は、切り替えないといけない。
まだまだ人口があるものとした大前提のビジネスをしている人が多い。
日本は2008年から人口減少の国なった。

だから、今、アメリカではなく日本は、日本より人口の少ない
ヨーロッパ各国を学ぶべきだと思う。

アメリカは50年前も、50年後も
人口ランキングは変わらない。つまり人口によるビジネスができる。
日本は50年前の5位から、50年後は17位まで下がる。

そして、日本は地方が活性化しないと元気にならない。
なので、ヨーロッパの元気な田舎町は参考になることが多い。

日本の経営者は、OSを変えるべきなのだ。
人口があるビジネスから、人口が減少しているところで通用するビジネスに
切り替えていくべきなのだ。

5) 今、経営者は、OS(考え方の基本常識)を変えないといけない

■経営コンサルタント24年で最近思うこと
日本を元気にするために
日本の中小企業を元気にしたい
という思いでやってきた。
そのためにアメリカのビジネスも、現地視察を含め
勉強してきたがこれからは考え方勉強先を変えていかないといけないかもしれない。



日本は、アメリカを参考にしてきたが、
人口がアメリカと同じように増加傾向の時には
非常に参考になりそれが功を奏して
日本の経済成長につながってきた。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
しかし、人口減少期に突入した日本が
今も人口増加しているアメリカを参考にすると
真逆の戦略になることが多い。
アメリカのビジネスは
大なり小なり
客数を増やす戦略。
そのためには、従業員を増やさないといけない。
しかし、お客様になる人、従業員になる母体である日本の人口が減少している。
どうすると良いか?



1. 絶対的人気商品を作る
  うちだけ、ここにしかないもの
2. +α商品を作る
  もう一品
3. 粗利益率の改善  
4. リピート率を上げる 
そのために
今日からでもやると良いこと
1. 絶対的人気商品を作る
   ↓
  値上げすること
  ・ちゃんと理由を付けて
  ・+αサービスを付ける
2. +α商品を作る
   ↓
  商品点数を上げる
  オプションをつける
  これ買ったら○○割引など
3. 粗利益率の改善 
   ↓ 
  20%以下は潰れる
  ・粗利率を商品ごとに把握する
  ・粗利率の高いものから売る
4. リピート率を上げる 
   ↓
  頻度を上げる
  ・朝食をプラスするように
  ・不動産・
  ・デュアルライフ
  ・通販 など

(2) 視察先の物価

■インスタント証明写真

ドイツ ミュンヘン 10ユーロ(約1,600円)
韓国  ソウル   1万ウォン(約1,100円)
日本  沖縄    1,000円



こうみると、物価に即しているのは
1ユーロ=100円
1ウォン=0.1円
つまり今の為替は
円安で
ユーロが1.6倍
ウォンが1.1倍
日本より高い感じだ。

■エビアン 1リットル

フランス・SA    1.9€(285円)
フランス・スーパー 0.58€(87円)
韓国・ソウル    2500₩(250円)

■コーラ

フランス・スーパー1.25リットル 1.77€(266円)
スペイン・スーパー1.25リットル 1.15€(173円)
韓国・ソウル   1.8リットル 2600₩(260円)

■卵

スペイン・スーパー12個入り 2€~2.99€(300円~450円)
韓国・ソウル   10個入り 3990₩(399円)~5990₩(599円)

(3)視察先で勉強になったこと

1) 単品勝負は強い

 フランス・ボルドーにて、地元では有名なレストランに行ってきた。
 名前は「L’ENTRECOTE」



 鮮やかな黄色が所々に目のツク超繁盛店だ。

 ランチは、地元で有名なお肉。
 ボルドーは、ワインの他に、肉牛も産地でステーキもおいしいそうだ。
 このお店のランチは、メニューがなく、
 料理は、ステーキのみ(焼き方だけリクエスト出来る)
 ワインも1種類ととてもシンプル。
 ランチは、60席くらいで、3回転するようだ。
 単品勝負のお店は強い。それを進化させると究極の効率になる。

 圧倒的一番の商品を作ると、単品勝負ができる。
 そうすると、今日入ったアルバイトの子でもすぐにホールに出られる。
 人員が少なくても良い(厨房も、ホールも)
 改めて単品勝負は強いと思いながら
 狂牛病の時の吉野家の牛丼のように、単品はリスクも伴う。

2) 移動させる=経済回る・フランス・ボルドー

このラインより上のエリアが無料で表示されます。
 フランス・ボルドーの街中にはトラムが走っている。
 そのトラムは、1回 1.7ユーロ(約255円 1ユーロ150円換算)
 1週間使えるパスは、14.20ユーロ(約2,130円)
 けっこうお得に使える。



 自動車の高速代も安い。
 今回は、スペインとフランスを全部で1500km位走行したが
 14日高速 32.71 ユーロ(約4,900円)
 15日高速 47.30 (約7,000円)
 16日高速 97.46 (約14,600円)
 合計   177.47 (約26,620円)
円安がなければ安く感じる。

ただ、ガソリンは高かった。
1リットル2ユーロくらいなので
日本円に換算すると1リットル300円になる。

円安をのぞくと、移動費用は安い。
移動費用が安いと、人びとの不満はたまりにくいのと
移動するとお金を使うので経済が上向くと言われている。

日本は距離に対していろいろ高いように思う。
これを改善できると地方ももっと面白くなると思う。

3) 自信は積み重ねからやってくる

ボルドーでワイナリーを経営している知人のところを訪問した。
1999年にフランスボルドーに渡り
ワイナリーのホームステーからワインにはまる。
ボルドーの高校、大学と
言語がわからず、差別も受けながら誰もがおいしいと言うワインにまでなる

スペインのビルバオから、約350km車で走りボルドーに来ました。
5大シャトーで有名なワインの産地です。
ワイナリーは6000あると言われている広大な農場があるところです。
そこに、友人でワインをぶどうから作っている内田修さんをたずねてきたのです。
19歳でフランスに渡り本場フランスでは困難と言われていたボルドーで
ワイン造りそれも、大学で学ぶために語学学校、高校、大学と進んでいくのです。
高校の時には、4,5歳も下の高校生から差別を受け

それでも見返してやると、がんばりボルドー大学の醸造科を出て
歴史の古いボルドーで外国人がワインを作るなんて無理と言われながら
今では、ワインを作れば即完売する所まで来たそうです。
ワインを飲ましていただいたがこれまた、味わい深いのです。
極力自然に近いようにということで農薬を散布せず、白ワインはフィルターを通さず濁りワインとしてだしている、これが香りが本当に良い。
一口目の口の広がりが、プワーと別世界に広がって行く。

4) 古さが新しい

フランス・シャンボールに来ました。500年以上前のお城がある世界遺産の街です。
ビジネスのヒントとして、「古いものが新鮮」と言う概念がある。500年も経てば誰もが今と違うのですごいとなる。今のレトロブームもその一つだ。500年までとは言わなくとも、長くつづける。長く保存するは、一つのビジネスの方向性としてすごくあり得るし、日本は歴史あるのだから、これをすると良いのかもしれない。

5) マイナスの活用

1万6千人の人口に、シーズン中は10倍の人が来る。
移動は自転車。これはすごいヒントになるのでは?

フランスのレ島にやってきました。



レ島は、フランス、シャラント=マリティーム県の島。
イル・ド・レとも呼ばれる。フランス有数のリゾート地で、
冬季は1万6千人の人口の島が、夏季には人口が16万人にもなる。

レ島は、フランスの大西洋岸に浮かぶ2番目に大きな島です。
この極めて美しい島には、砂漠、塩性湿地、森林などがあり、
細い路地やカラフルな家屋が並ぶ、絵のように美しい小さな村々で
飾られています。
レ島は人気の高いホリデーリゾートで、静かで本格的な自然環境の中、
リラックスしたい観光客を惹きつけています。
長い橋で、歴史的な港町La Rochelleとつながっています。

何も無い、移動もしにくいそんなマイナスの地方が
だから、ここに長期滞在したいという人が集まるのだそうだ。

何かがあるだけが、集客の要素ではく
何も無いもまた、集客の要素のようです。

6) 感動レベル

食だけで観光誘致をしているスペインのバスク地方
スペインの飲食を回ると、商売がよくわかる。
繁盛店と、稼いでいるお店の違い。
そして、基本機能の昇華と感動レベルへのステップ。
感動レベルとは
・量をこなし
・基本機能を徹底してあげ
・そして、継続するから本物になる。

今回ヨーロッパに来たのはこのためと言っても過言ではなく
前田哲郎シェフの料理を食しに来たのです。
彼とは、2017年にスペインの田舎町で
まったく料理を知らないのに飛び込んで
そこから、ベストレストラン世界第3位のスーシェフにまでなった
日本人がいると聞いて、
興味を湧き、会ったのがはじめてです。
来るたびに、進化している、料理はもちろん
料理にまつわる文化や、スペインの文化など
子供がスポンジのようにドンドン吸収していくように
学んだ彼の話を聞くのが楽しく
年2回ほど訪れるようになりました。
一緒に来る人、来る人感動し
ここに来ると、
なぜ人は感動するのか?
を、なんとなく理解出来るのです。
人間は、たぶん、
基本機能の良し悪しだけでは、良いと思っても
料理で言うと、基本機能は、おいしさ。
絵画で言うと、基本機能は、美しさ、絵の構図。
感動まで昇華するには、それに
なぜ、こうなったのか?
どうして、これを選択したのか?という
バックボーンがすごく大切なのです。
ゴッホの絵が、絵画そのものが美しいのはもちろんですが
弟テオの献身的なバックアップや、生きているうちに認められず
心がやんでいく、そして、死後爆発的に認められる
そんなことを我々が知っているからでしょう。
それに通じる、前田哲郎シェフの新店での料理。
絶妙な火入れ加減と和テイストでありながら、スペインを強く感じる
哲ちゃんの繊細さ。
彼の人生観と、文化をたくさん勉強し、心がどこまでも繊細な彼だから
表現出来る。さらなる進化を応援したいものです。

彼は、開業して半年でミシュラン1つ星に選ばれました。

7) 繁盛店

超繁盛店のLa Viña(ラビーナ)
年配の方もお店に1人で来る、バルなので気軽なお店だが、いつ
きてもいっぱい。
商売で大切なのは、キャッシュポイント
どこで稼ぐか?繁盛しているだけでは、稼げない。

1.基本機能
飲食では、美味しいは、基本。もちろんここがないと人は来ない
とにかくここは、美味しい

2.単価アップ
買い上げ品数を増やす。ここは、バルなので、ピンチョスだが、超
大人気が、2つある。これだけあれば、他も試す、だから客単価
が、上がる

3.リピート率
これをあげないと繁盛しない。そのために、このお店は、幅を広げ
ている。立ち飲み、テイクアウト、座って食べるレストラン、グルメ
ショップ
今日は、飲んで帰る時間はないが、持って帰りたいなど
よくできている、そして、これだけ繁盛していると、仕入れも安くな

さらには、サービスが良い。
良いサービスとは、時間が早い。

(4)まとめ

ヨーロッパで学んだこと

1つは、古さは価値になる。(日本は有利)

2つ目は、良いところは、必ず特産物がある(江戸時代地方産業と同じ)

3つ目は、人を呼べる何かがある。(これは今からでも作れば良い。特にマイナスを利用する)

そして、
経営者はOSを変えるべき

人口減少期のビジネスは増加期とは異なる。
それを踏まえて、考え方を変えないといけない。
そのためにも、ヨーロッパの田舎町は参考になる。

さらに、
マイナスをマイナスと捉えずに
マイナスをプラスに転換することをしないと
日本の地方は都会のマネをしてダメになっていく。

考え方を変えて
新たにものを捉えることにより
ビジネスを発想していきたい。

「発見の旅とは、
 新しい景色を探すことではない。
  新しい目で見ることなのだ。」
 マルセル・プルースト フランスの作家

旅の良さは、
今までと同じものを
新たな見方ができる、新しい目を持つことだ。

ぜひ、旅をして、新しい常識を持ってほしい。

野田宜成と行く視察!
https://br7.jp/inspection/

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