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ビジネス見聞録

後継社長のコミュニケーションQ&A 第2回 「創業120年の飲食業、三人の兄弟喧嘩」

ビジネス見聞録 経営ニュース

質問

 創業120年の飲食業、三兄弟で経営しています。長男会長80歳、次男社長77歳、三男専務70歳。誰が次に会社を継ぐか、まだ決まっていません。決めるのは会長と社長です。会長にも社長にも子どもはなく、専務には3人の子がいます。専務は今後のためにと後継問題も含めて経営に色々と口出ししますが、会長と社長は面白くなく、非常に風当たりが強いのです。
 全てに報告が必要で、その都度大目玉を喰らい辟易しています。業績も横ばいなので、経営改革を進めたい所ですが…何かを変えてもすぐ良くなるものではないでしょうが、こんな状況で会長や社長にどうアプローチをしていけばよいでしょうか?またその際、使うと効果的な言葉のフレーズなどもあれば、ぜひご指南ください。

回答

 これは会社の後継問題ではなく兄弟喧嘩ですね。

 同性で年齢が近い兄弟は競合しやすいんです。長男会長、次男社長のお兄さん2人は、自分たちには引き継ぐ子どもがいないから血縁が継ぐには三男専務の子どもということは頭ではわかっているけど逆にそれが癪に障る。なぜなら、自分に子どもがいなくて継がせられない悔しさや、兄弟喧嘩なので下の弟に持っていかれる悔しさがあるからです。

 こんな時に三男が絶対やってはいけないのが『説得』と『アピール』。社会や業界、会社の状況を論理的に説明して「だからこうした方が良い」と説得するのもNGですし「自分に任せてくれたらこんなことができる」のようなアピールも兄弟喧嘩的にはかなりマズいですね。

 ではどうすれば良いか?長男会長や次男社長に対して「経営についてどう考えてるのか教えてほしい」「この会社をどうしたいのか教えてほしい」という『教えてモード』のコーチング的な関わり方をしてほしいんです。

 『説得』で関わると、どうしても会社の粗探しをして指摘するような形になってしまいます。もし会社の業績が落ちているのなら、会社に危機感があるのでこのような関わり方でもある程度効果があるかもしれません。ただ、現状は業績が横ばいですので説得しようとしても兄弟感情的に難しいというわけです。

 そこで、次の5ステップで『教えてモード』でコーチングすることをお勧めします。

 まずステップ1。先代である親の意向を思い出してもらうことです。「そう言えば先代は兄弟どうしろ言ってたっけ?」と質問し、兄2人に自ら思い出してもらうことが大切です。大概の場合は親は、兄弟仲良くのようなことを言っていたはず。それを兄2人に思い出して言ってもらうことですね。兄2人の発言の後に「ほら、やっぱりそう言ってたよね」のように兄2人の上に立たないように注意しましょう。

 ステップ2は、兄2人ががこれまでの会社経営で大変だったこと、苦労したことなど過去マイナスの話を聞くことです。あの時期大変だったよね、あの時期は苦労したよねと三男専務から話を振り、そして話を聴きながら共感することが大切ですね。この時にも「俺も大変だったよ」のような自分のアピールの話はしないことです。

 そしてステップ3では、出した成果や困難を乗り越えた話など過去プラスの話を聞くことですね。三男専務から「そういえばあの時は大変だったけど、会長(社長)のおかげで…」のように話を振るといいでしょう。

 ステップ4は、「兄2人は経営者としては完璧だよね」という話をあえて振り、兄2人が自ら足りていないことに気付いてもらうアプローチです。人間は感情をある一方向に振り切ることで、逆の感情も湧きやすいという特徴があります。だから、「兄2人の行動は全て間違ってなかったし、選択も全て正しかったよね」と言うことで兄2人から「自分にも足りてないところあったよ」と言う言葉を引き出しやすくなります。

 最後のステップ5は、兄2人に「この会社どうなったらいいと思う?」と聞くことです。ステップ1〜4を繰り返し聞いた上でステップ5に進むことで、三男専務に会社を取られるという兄弟喧嘩の意識からこの会社の将来を考える経営者の意識になっているはず。

 しっかりと話を聞いて各ステップを進めることで、こんな丁寧で真摯な関わりをしてくれた三男専務に対してもリスペクトの気持ち湧いてきます。そうすることで、「こいつなら大丈夫」と思う気持ちになるのではないでしょうか?

 特に年齢的なことを考えると、兄2人は経営的な視点ではなく、自分の権威や承認欲求を満たすことに意識が向くこともあると思います。あえてそれらを満たす関わりをすることで、心を拓きやすくなるんですよ。

 これが兄弟喧嘩で末っ子がお兄ちゃんたちを味方につける方法です。

 

講師:平本あきお(ひらもとあきお)
株式会社平本式 代表取締役。社長より社長の心を理解し“社長が本来やりたかった経営”を引き出すメンタルトレーナー、コミュニケーション心理学の専門家。どんな状態の企業でも、指導後には空気を一変させ、社員のやる気を最大限に引き出すその手法は「平本マジック」と呼ばれる。日本人では数少ない「米国アドラー大学院修士号」取得者。トップアスリートや有名俳優、上場企業経営者、産業、教育、政治、芸能など各界のリーダーや起業家も指導。講演、雑誌連載、TV出演や著書等も多数。

平本あきおの「後継社長のコミュニケーションQ&A」
第1回「うまくいく後継者の対話の手順《5ステップ》」
第2回「創業120年の飲食業、三人の兄弟喧嘩」

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