受付の色は会社の印象を決める
今回は受付、会議室、社長室、作業場、休憩室の5つの「場」の色使いについてお伝えします。
まず受付は「会社の顔」とも言える大事な場。(企業によっては受付を特に華やかにしている所もありますが、ごく一般的な受付の想定です。)受付に人を配置するなら、私服でも制服でも会社のロゴやキーカラーが入ったモチーフを何か1つ身につけさせましょう。私服だと、特に二人以上いると洋服の色がバラついて統一感が取れません。だから私服でもトップスは同じ色にするなどルールを決めると良いでしょう。制服なら制服自体を会社のキーカラーに揃えたい所ですが、その色が服全体の色にしずらいこともあります。その場合はスカーフやネクタイ等の小物の色にして全体の統一感を持たせると良いでしょう。
こうすることで訪問する人にとっては、訪れる度にその会社の色が目に入ります。働く人にとっては、自分が働く会社のキーカラーを身につけているんだと背筋が伸びます。人を配置できない場合は、ロゴの入った看板以外にも、カウンターや床の色などにキーカラーを取り入れ、自社の色でお客様を出迎えるのも好印象です。難しければまずは花瓶や花の色など、出来る所から自社の色を取り入れてみましょう。ある小さなクリニックでは、受付の人のスカーフのピンク色を、壁にもアクセントカラーとして所々に取り入れることで、穏やかな雰囲気作りに成功しています。もちろんクリニックのロゴカラーはピンク。上手に空間全体でアピールされています。
会議室の色は会議の用途に合わせる
続いては会議室。色が最も役に立つ場所です。もし二つあるなら、部屋ごとに色を変えるのがオススメ。例えば椅子の色を赤系と青系で分けます。赤い椅子の部屋にはホワイトボードのペンも赤と黒だけ、青い椅子の部屋は青と黒のペンという具合に統一します。すると嫌でも各部屋の色が頭に入ってきます。モチベーションを上げる話や営業対策などは赤、冷静な数字の話や個人面談は青…と目的ごとに部屋を変えると効果的です。
備品などどれも同じと思っていた方も、このように戦略的に色を加えてみませんか?実際に大手IT企業のオラクル社が設立当初赤い部屋と青い部屋と使い分けていたことは有名な話です。私が依頼され手がけたある企業の会議室では敢えて青と黄色の2色で使い分けました。前者は集中させるための部屋として、後者はクリエイティブな発想を出すための部屋として作りました。
会議室は色が最も役に立つ場所。もし二つあれば、部屋ごとに色を変えるのがオススメ。椅子の色を赤系と青系で分け、赤い椅子の部屋はホワイトボードのペンも赤と黒だけ、青の部屋は青と黒のペンだけにします。すると頭がその部屋の色のモードに切り替わります。元気づける話や営業会議は赤、冷静な数字の話や面談は青、と目的別に部屋を変えると効果的です。備品などどれも同じ…でなく、戦略的に色を仕込んでみましょう。実際に大手IT企業のオラクル社が設立当初赤い部屋と青い部屋と使い分けていたのは有名な話です。
私が手がけた事例では敢えて青と黄色の2色としました。前者は集中する部屋として、後者はクリエイティブな発想を出す部屋として作りました。色を取り入れる場所は椅子やテーブルも良いですが、できるなら思い切って壁紙の色を塗り替えると効果大です。面積が大きければ大きいほど、その色が人に与える効果は増していくからです。
社長室の色は親しみやすさがカギ
社長室は会社のトップが長時間滞在する部屋。社長の自由な空間にしたい所ですが、社長室こそいつ誰が入ってきても良いようにしておくべきです。入った瞬間緊張感を与える黒いソファや濃い木目の壁や机という厳格な雰囲気も悪くないのですが、少し時代に合いません。社員が気軽に話にいけるような風通し良い空間にできると理想的。
ただ、色を多用した落ち着きのない空間は社長の立場に相応しくなく、逆に色が全くないのも寂しい。オススメは「会社の理念」と色を連動させること。例えば情熱、向上といった熱い想いの理念なら、赤をアクセントに散らばせる。自由に、楽しく、ユーモアに溢れた、といったワクワクするような理念なら、黄色を取り入れる。ソファや机といった大きなものに持ってこなくても、赤や黄色の花を毎日欠かず飾るだけでも効果があります。部屋を訪れた社員は、いつも同じ色の花を目にし、知らず知らずのうちに会社の想いを花の色から感じられるようになります。今日からすぐにでも始めて見てください。
作業場は安心感や快適さが感じられる色を
作ったり検品したり梱包したりする作業場では、想像以上に疲労感を感じるもの。少しでも快適に作業できる場所にするため、色を上手に使いましょう。まず作業着はできるだけグレーや黒などの暗い色は避ける。ただ鮮やか過ぎる色も目がチカチカして集中力が欠けるので、汚れは多少目立ちますが、ベージュやアイボリー、優しいピンクなどがオススメです。
毎日淡々と同じ作業をするからこそ、汚れが目立ちにくい理由で暗い色を選ぶのは問題です。人間は元気な時はどんな色でも影響を受けにくいですが、体調が悪かったり、単調な仕事に飽きていると、暗い色を着ているだけでより気持ちが塞ぎ込んでしまいます。だから作業着こそ柔らかい穏やかな色を選んで欲しいのです。
またつい後回しにされがちな作業場そのものですが、実は色次第で数字に直結させられる場所があります。それは「床」。どうせ汚れるからとグレー系の色を選びがちですが、床は目に優しく、かつ心が癒される色がオススメ。空をイメージさせる綺麗な水色や、観葉植物を感じさせるグリーンや、広い大地の様なブラウンなど、自然界の色に近い様な色を取り入れて見てください。
休憩室はデザインも含めてこだわってみる
最後は休憩室。大事な社員が休める唯一の場所です。畳や木目のものを取り入れたり、天井を高くして空気の流れをよくしたりとデザイン面でもこだわって見てもよいでしょう。あまり動かせないのであれば、壁紙の一面を薄いピンクやミントグリーンといった優しいトーンの色に塗り替えて見てください。これだけでも部屋全体が居心地よくなります。
空間に色を取り入れていく作業は、一見後回しにしてしまいそうなものばかりですが、ぜひこれからは先回りしてやってみましょう。色使いを意識するだけで、会社全体の空気感が変わっていくことを感じ取ってもらえたら嬉しいです。
※本コラムはビジネス見聞録に掲載をしたものです。
■七江亜紀氏(ななえ あき)/株式会社ナナラボ 代表取締役
企業やビジネスパーソンをはじめ今まで3万人以上のカラーコンサルティングをしてきたカラーキュレーター®。
営業成績を向上させる服装の色から部下の力を引き出す色、会議を活発にさせる色など、コミュニケーション力、モチベーション向上などビジネスの場で色の効果を活用するカラーマネジメントを指導。その活躍はファッション、フード、インテリア等…ライフスタイル全般にも広がっている。主な著書に「オレンジこそ最強の色である」、「色が教えてくれること~人生の悩みの9割は「色」で解決できる」他多数。