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第11話 攻め方を変えて大ヒット!任天堂の商品開発ウラ話

北村森の「今月のヒット商品」

今月は、4月下旬に発売となった、大手企業の商品を取り上げます。これです。
お分かりになりますか。私、発売前に予約して、購入しています。
 
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任天堂の「Nintendo Labo」です。かなり話題になっていますね。昨春に登場して大ヒットとなっているゲーム機「Nintendo Switch」と連携して遊べる、工作キットです。バラエティ キットは税別で6980円。
 
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外箱は、平べったくて、結構大きい。これを開くと…。
 
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こんな感じです。で、入っているのは…。
 
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ダンボールが28枚、それと輪ゴムやヒモ。あとは、連携させる「Nintendo Switch」用のソフトが1本です。なんというか、すごくアナログなキットですね。のどかな感じ。
 
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うまくできているなあ、と唸ったのは、工作するのに、ハサミやカッター、接着剤などは全く要らないところ。ダンボールの切れ目に沿って部品を取り出し、折り曲げ、ツメをはめ込んでいけばいい。
 
さらに「Nintendo Switch」の画面でソフトを立ち上げると、これでもか、と言うくらい親切に、工作の手順を示してくれます。これは「決して失敗しない工作キット」と表現していい。
 
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「ラジコンカー」は10分で完成しました。「Nintendo Switch」側で操作すると、トリッキーな動きを見せて面白い。
 
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こちらは「つり」です。1時間半ほどかかりましたが、工作の途中で立ち往生することはありませんでした。組み立てていくなかで、時折、ちょっと力が要ったり、2人で作業したりしたほうがいい場面があります。パパやママの見せ場を設けてくれているようにも思え、これは微笑ましくも、ありがたい演出かも。
 
 
さて、どうして今回、「Nintendo Labo」を取り上げたのか。
 
私、12年前に大ヒットした、同社の「Wii」を思い出したんです。当時、このゲーム機の担当者にこう尋ねました。「Wiiが売れた最大のポイント、言い換えれば開発のカギになったところは、いったいどこでしょう」。
 
ゲーム機ですから、普通なら、白熱するようなソフトの制作に対応できるための高いスペック追求ですとか、あるいは強いソフト自体の開発ですとか、そういった答えが返ってくると思うじゃないですか。
 
ところが違った。担当者の答えはこうでした。「Wiiのコントローラーを、いかに白物家電のリモコンのような雰囲気につくり上げる。それが一番の目標だった」。
 
驚くと同時に、納得しましたね。これ、どういう意味があるか。ゲームを最も忌み嫌っているであろう母親層を取り込もうとしたわけです。普段使っている家電のリモコンに似た形状であれば、違和感なく手に取ってくれるのではないか、と。さらに言えば、「家電のリモコンのように」という開発哲学は、その他もろもろの仕様決定(どんなソフトを作るのか、価格はどうか)などに、大きな影響をもたらしたはずです。「こういう線を目指す」というシンボルとして、開発者の間で共通の認識を促す効果は絶大だったでしょうね。
 
実際、「Wii」は、母親層を取り込んでの大ヒットでした。「彼女らはターゲットではない」とハナから決めてかからず、開発を進めたことが成功に結びついた。こういう考え方って、キット他の商品分野でも大事なのではないでしょうか。
 
そして再び、「Nintendo Labo」は、ゲーム機を家族の元へと引き寄せています。こういうところがやはりうまいなあ、と感じ入りました。
 
 

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