創業者はこのことが、お客様もいない、金もない、信用もない、商品さえままならない創業期に、嫌というほど身にしみているだけに、解っている。ある経営者は「返済しなくていい資金調達は売上代金だけだ」と、言うほどである。
1.当然ながら1対1でのセールス能力
これがなければ、独立はおろか、日常の仕事にも支障が出るほどだが、社長にはみんな備わっている。問題は、自分が出来て当然だから「人も出来る」と錯覚していたり、人に教えず命令一下、全営業マンを動かして売上を伸ばしているので、社長以外が、新しい販売戦略を考えられないことである。
2.自社の商品・サービスが売れていく仕組みを作る能力
販売の能力もさることながら、個人プレーを組織プレーに替えて、販売のマネジャーを育成する能力に長けている社長は、会社業績を大きく伸ばしていける。TQM発想が典型だが外部の専門家の力を借りても、システム構築と人材育成を両立させることが必要である。そして、更に「自社商品が世の中に役立っている」という絶対的な自信を社員一人一人にもってもらうことである。
3.販売チャンス(機会、潜在ニーズ)を発見する能力
商品、サービスを次々追加していかないと結局は業績は頭打ちしてしまう。商品の寿命もあるし、お客様のニーズも刻々と変わっていく。ニーズの変化そのものが寿命を決める最大要素であるから、社長としてお客様の変化、新たな事業チャンスを捉える嗅覚こそ、最大の販売能力となる。社長室では解らないし、解ったつもりになることが一番怖い。
特に需要が衰退したり、潮目が急変した瞬間を捉えておかないと、過去の成功体験が強いだけに「撤退の決断」が遅れてしまう。もっと言えば、次の事業機会を持っていないと撤退の時期に来ているのが解っても「わずかな限界利益」に頼らざるを得ず、ズルズルと赤字転落に向かって、時を無駄にしてしまう。世界中を旅して、社長自身が常にお客様の立場に身をおき、「発見」を仕事にしなければ次世代の繁栄はおぼつかない。
自社の販売の力点はどこにあるだろうか?冷静な判断をして欲しいし、後継者に是非このことを「体で解るよう販売体験を積ませて欲しい」。