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社長業

第26回 いまこの時期に幹部に求めるもの

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2021年5月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 いまこの時期に幹部に求めるもの、それは社長の考えはもとより、この状況の中で戦略・戦術を理解し、正しく部下に伝達することである。2月の実学の門は20年ぶりに全国5会場にて開催をした。名古屋会場は5年ぶり、仙台会場は実に20年ぶりの開催であった。会長の体力を考えて一時縮小をしたが、私がワンマンでやるようになり、それもなくなったカタチだ。

 このコロナ禍で、「東京に行きたくても社員、家族から止められる」「地方は地元の人の目があり、東京に行ったと噂されると生活に支障がでる」などの声があり、「それならこちらから行こう」という決断をした。いまどきと逆行になるが、オンラインは止め、全て会場開催とした。結果として、コロナ直前の開催よりも多くの方々にご参加いただいた。有難いことである。

 何故、これだけ多くの方にお越しいただけたのか考えた。
・今年の舵取りに不安が多い・親子参加が多い・幹部との参加が多い・紹介で参加される方が多い・年齢幅が大きい・女性が多い…など各会場を通して感じたが、とりわけ多くの方に言われたのが、「社員とのコミュニケーション不足」だ。高齢の先代が会社に出てきにくいので親子間の会話が減った。親子間ですらそうであるから社員とはもっとである。一緒に飲めない。ランチに行けない。全員で集まれない。集まっても時間が限られている。会議はZoom…そこで失ったものを取り返すかの如く参加される方が多かった。

 東京会場にて飲食店を数十店経営されている会社の社長からこのような話を聞いた。店長会議の場で、ある店長がこのようなことを言ったという。「2022年中盤までは絶望的ではないか」「かりにコロナが落ち着いても、一旦離れた高齢者はもう戻ってこないという統計がある」などと発言をしたという。社長は、幹部(店長)に対して怒った。この話を直に聞いていない私ですら頭に来たので、その社長の怒りはそうとうなものだったろう。

 幹部(店長)の発言というものは、社長の言葉でなくてはいけない。発言した場は店長会議の場であったからまだいいが、会議が終わり自分の店舗に戻ればその店長がトップなのだ。想像していただきたい。幹部会議が終わり、幹部が自部門に戻り部下に対して同様の発言をしたとする。そうすれば、それは社長の発言となってしまうのだ。恐ろしいことだ。

 「2022年中盤までは絶望的ではないか」「かりにコロナが落ち着いても、一旦離れた高齢者はもう戻ってこないという統計がある」などと後ろ向きな発言を聞いた社員が、その後明るく仕事が出来るだろうか。そんな会社で安心して働けるだろうか。さらに、そういう会社に優秀な社員が入ってくるだろうか。幹部というのは、社長と社員を繋ぐ重要な「ピン」の役割をしている。社長の言葉を正確に全ての社員に伝えなくてはいけない。

 前回の繁栄への着眼点で「大木」の話をした。根から吸い上げた養分を、葉の一枚一枚にいたるまで行きわたらせるのが幹部の仕事だ。このコロナ禍においては、その幹部の役割は通常時以上に重要なものである。その考え方の擦り合わせをして、同じ価値観を共有するために実学の門への同行聴講が増えていると実感をした。こういった話自体が会場開催だからこそ聞ける話であり、我々日本経営合理化協会も中小企業の経営者のために、今後も皆様に寄り添った企画・開催を心がけていきたい。

※本コラムは2021年5月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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