どんなに経営が順調であっても、悩みから解き放たれないのが経営者です。
経営が順調であればあるほど、「こんなにうまくいくとことが、続くはずはない」と、優れた経営者は疑心暗鬼になるものです。一方で、「業績が上がらないのは、社員の士気が上がらないためだ」「いままでどおりの事業では埋没してしまう」など、ネガティブな思考回路が回り始めると、どんどん悩みは深くなります。
社長が悩んでも解決しない問題ももちろんあるでしょう。しかし、悩む以前に、「悩まない脳」に自分を鍛えておけば、悩みの種がやってきても、社長の脳の中で悩みが大きく育っていくことは止められるはずです。
人は悩み始めると自分の気持ち、すなわち「自分のこころ」が気になり始めます。
私自身も脳を知るまでは、自分のこころが問題なのだからと、こころを解読したり、こころの問題を論じ、説いている思想家、哲学者、宗教家、心理学者の話や書物を読み漁って、心の持ち方を変えようしていました。
しかし、まったく自分のこころが変わったり、悩みが解消したような気にはなれませんでした。
三十代になり、臨床家として医療現場の第一線で日々、患者さんの命に向き合っていると、雲を掴むようなこころを悠長に考えている暇はありません。日々戦いのようなものでした。
命を救う戦いには鋭い武器が必要です。そして、私はその武器を自分が手にしていたことに気がつきました。それがMRIです。1ミリの精度で脳の問題を解き明かすことができるMRI脳画像は、言葉を発しない子どもや大人のこころをわたしに見せてくれたのです。
「脳の形がこころを表す」
これには衝撃を受けました。
「結局、こころの問題を論じたり、説いている思想家、哲学者、宗教家、心理学者らには、こころが見えていなかったのだ」と気がついたのです。
実態がよくわからないこころを理論的に考えるやり方は、学者になるようなもので、学者の真似ができない人に悩みは解決しないことになります。
「こころが見えていない人に心の問題は解けるはずがない!」そう考え、私は、個人の脳の成長の違いに基づく「個人脳科学」を確立する決意をしました。
心理、すなわち、実態がよくわからないこころを理論的に考えるやり方では、決定的な問題は見ることができないのです。脳を見れば、悩みの原因がわかります。人は未成熟な脳番地が悩みの種になり、未成熟なままの脳番地からは、すぐにいい答えがでません。脳番地が成長し、初めてスムーズに脳が使えるのです。
すべてのリーダーへ伝えたいです。自分の脳から自分のこころを見直すことで、新しい自分が開きます。
是非、このテーマをよく考えて、今月を過ごしてみましょう。
経営者の脳の健康のために!