厚今、問題になっている「豚インフルエンザ」。
メキシコで亡くなった方々に、心からご冥福をお祈り申し上げます。
通常の季節性ヒト・インフルエンザだと、亡くなってしまうのはお年寄りや小さな子どもなど免疫が弱い世代。ところが、今回のメキシコでは、豚インフルエンザに感染した人でなくなったのは、健康で若い大人だといいます。
健康で免疫が強いはずなのになぜ…?
サイトカイン・ストームという症状があります。
「サイトカイン」とは、免疫担当細胞同士が連絡をとりあう信号にあたる物質の総称で、赤血球、白血球、血小板などを増殖させる物質や、リンパ球やマクロファージ、好中球の数を増やしたり、細胞の移動を促したりする物質があります。
『ウィキペディア』によれば、
「サイトカインの過剰産生(サイトカイン・ストームと呼ばれる)は致死的であり、スペイン風邪やトリ・インフルエンザによる死亡原因と考えられている。
この場合、サイトカインは免疫系による感染症への防御反応として産生されるのだが、それが過剰なレベルになると、気道閉塞や多臓器不全を引き起こす(アレルギー反応と似ている)。
これらの疾患では、免疫系の活発な反応がサイトカインの過剰産生につながるため、若くて健康な人がかえって、罹患しやすいと考えられる」
とあります。
スペイン風邪とは、1918年の春から翌年にかけ、世界中で猛威をふるったインフルエンザです。フランスで感染が拡がったあと、スペインへと拡がっていきました。
中国、インド、日本でも発生し、当時の世界人口は約12億人でしたが、2,500万人~4,000万人の方が亡くなったといわれます。日本でも2,500万人が感染し、38万人が死亡しました。
おそるべきインフルエンザの大流行。これを「パンデミック」と言います。
過去大流行したインフルエンザには、スペイン風邪(1918-19年)、アジア風邪(1957-68年)、香港風邪(1968年)、ソ連風邪(1977年)などがありますが、いずれも「鳥 → 豚 → 人」経路による世界的流行の可能性が指摘されています。
今回の豚インフルエンザは、まだ詳細はわかっていないことが多いのですが、ヒトからヒトへの感染が確実になってくると、まさしくインフルエンザ・パンデミックの危険性が高まってきます。
実は、2004年の段階で「国連食糧農業機関(FAO)ベトナム事務所長が、ハノイ地域の豚の鼻腔から、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を検出したことを明らかにした」という報道がなされています。
ウイルスは複数の豚で確認され、いずれもトリからH5N1が検出された地域だということだそうです。
インフルエンザ・ウイルスには、H●N●型という型があり、H型には1~16、N型は1~9の種類があって、理論的には144種類の亜型に分類されます。このうち、季節性で流行を繰り返しているのは、H1N1型(ソ連型)と、H3N2型(香港型)です。
H1やH3型だと、すでに多くの人が感染に対する免疫を獲得しているのですが、H5型などは人類の誰も経験していないウイルスです。
今、季節性インフルエンザ対応で製造されているワクチンは、H1N1型をもとにしています。今回の豚インフルエンザ感染者から、ワクチンをつくることが決定していますが、大量に製造するのは数ヶ月かかると言われています。
いずれにしても、果たして、このインフルエンザ・ウイルスがH5型なのか、そして、ヒト→ヒトに感染しやすいタイプになってしまっているのか、メキシコで亡くなった人の死因がウイルス感染をきっかけとした「サイトカイン・ストーム」によるものなのか、今のところメキシコで感染してアメリカ・カナダに帰国した人には死亡者はおらず、軽症ですんでいますが、これが人種による症状の出方の違いを示すものなのかなど、詳細について注意深く見守る必要があります。
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インフルエンザ・パンデミックについては、ここ10年来ずっと指摘され続けています。
あまり恐怖心ばかりが先行してはどうかと思いますが、水際で予防することは国にがんばってもらうとして、個人的にもできることを考えておかねばなりません。
手を洗うこと、うがいをすること。
マスクを手に入れておくこと。
通常、ウイルスは71度で死滅します。滅菌処理をした食事をこころがけること。
タミフル、リレンザといったインフルエンザ対応薬について調べること。
また何か自分のカラダでしっかり備えることはないか、と考えることも必要です。
東洋医学的には、首、手首、足首から風邪(ふうじゃ)は侵入するとされています。したがって、首、手首、足首は、むやみに水や汗で冷やしたままにしないこと。
ウイルスとは、DNA(あるいはRNA)を核に、タンパク質の殻(から)だけをまとった非常にシンプルな構造物です。
生物なのか、生物でないのか…「自己増殖」するという点で、かろうじて「生きている」と言えるものです。
病原体として、細菌とウイルスを同じようなものだと思っている人も多いと思いますが、細菌とウイルスとでは、存在自体、かなり異なるものなのです。
まず大きさが全然違います。人体を地球に例えると、細菌の大きさは地球上を歩く「象」くらい。そして、ウイルスは「テニスボール」から「米粒」くらいの大きさなんです。ウイルスは、細菌にも感染できるんですよ。
そのウイルス、私たちのカラダに入ると、細胞の表面である「細胞膜」に鍵穴をあけて侵入し、細胞核にあるDNAをのっとって、自分のDNAを書き写そうとします(そうして他力で自己増殖をするんですね)。
ウイルスからすれば、カラダに入れたとしても、細胞内に侵入するには「細胞膜をやぶる」という関門を通らねばならないわけですが、ということは、私たちの細胞膜の状態に、ウイルスから身を守るヒントがあるのではないか?
ある雑誌で読んで、はっとしたんですが、もともとは人間がポロリと落としたものだという説があるんです。
私たちのカラダは日々新陳代謝をしています。DNAをコピーし、新しい細胞を生んでいるわけですが、その過程でコピーに失敗したDNA情報が出てくることがあります。
それは、そのままではエラー情報を増幅させるので、カラダはそのエラーDNAを切り離し、体外に捨ててしまうと言うのです。実は、それがウイルスの正体なのではないか、というのがその説の骨子です。
捨てられたエラーDNAが、核のまわりにタンパク質の殻(から)をかぶって、変異を繰り返しながら、何とか生き残りを図るというのです。
もともとは人間の体内にあったものだから、ウイルスはいつか人体に帰りたい。
あるものは通常の風邪ウイルスとして、そしてまたあるものは、苦境と厳しい環境にもまれにもまれて強力なウイルスに進化して…。
様々な環境で変異し、とても古巣の人体には受け入れられない格好をして帰ってくるものだから、人体の方では異物侵入として反応し、発熱、下痢、悪寒、咳などを起こします。
でもこれ、ある種の「同化作用」と言えなくもない。
熱などの生体化学反応によって、ウイルスを受け入れ、共存しようとする作用が人体の方にあるとしたら…。
ちょっと突飛な仮説ですので、鵜呑みにはしないでほしいのですが、でも実際、私たちのDNA情報の中には、ある部分がそのままウイルスのDNA情報になっている部分があるそうです。
ウイルス感染によって命を落としてきた人々がいる一方、感染によってウイルスが体外で「経験」してきた情報を取り込み、それによって、ある種の進化を遂げてきた人体。
『風邪の効用』(野口晴哉)や『ウイルス進化説』(中原英臣、佐川峻)という本を合わせて読んだとき、僕はウイルスに対して慕情のような感覚が湧いてきたことを思い出します。
もちろん危険なウイルスにたいして、無防備でよいはずはありません。
でも、ウイルスも地球環境が生んだひとつの存在と考えた時、その存在理由について、あらかじめ「認めて」あげておいた方が、いざ自分のカラダに侵入してきたとき、ひょっとしたらサイトカイン・ストームなどのような強烈な拒否反応とは違った、何かしら「共存の道」をたどる可能性が高まるかも知れません。
私たちの意識の及ばない細胞レベルでのコミュニケーション。
細胞膜の壁を境に行われる、ウイルスと細胞膜分子のやり取り。
僕はその観点で、いま、水による細胞の情報セラピーを開発中なんです。それについては、また本記事上で、ご報告させて頂きますね。