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戦略・戦術

集客力を高める|利益を最大化する「業務改善」(第4話/全5回)

利益を最大化する「業務改善」横田尚哉氏

 ヒト・モノ・カネ…限られた経営資源を上手く活用しながら、会社の利益を向上させていくことが、社長の役割。そのためには自社の現状を見つめ直し、経営を効率化する「業務改善」が欠かせない。しかし、「実際には何をすればよいのかわからない」と、実行したくても足踏みしてしまう現状がある。その問題を解決すべく、10年間で総額1兆円の事業改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現した横田尚哉氏が「利益を最大化する業務改善」の順序を公開する。


 これまでお伝えしてきたように、《利益を最大化する》方法は、安定の時代と変化の時代で異なります。車で言えば、高速道路での運転方法と、カーブの多い山間部の運転方法が違うようなものです。

 今は変化の時代です。この時代では、《顧客ニーズを捉える》コトと《対応速度を上げる》コトで、《利益を最大化する》のが効率的です。その理由は、第2話第3話でお伝えしておりますので、今一度、内容を確認しておいてください。

 今回は、どのように顧客ニーズを捉え、対応速度を上げていくのかを、サンプル事例を用いて、具体的に解説していきます。

集客に苦労する店舗

 ある飲食店から、私に業務改善の依頼がありました。その店舗は、長い間、その土地で営業してきました。少しでもお客様に満足してもらえるように、定期的にメニューの見直しをし、店内の改装もしてきました。効率性も意識し、従業員の教育やマニュアルの整備など怠らずに、実行してきました。

 しかし、近隣に競合店が進出してくるにつれ、徐々に集客に苦労するようになりました。商品を見直したり、価格を見直したり、新たなサービスを考えたり、いろいろと工夫してきましたが効果がありません。それに加えて、コロナによる突然の業務環境の変化に見舞われ、売上が一気に下がりました。もはや、改装やサービスに掛けるリソースもなくなってしまいました。

 私は、依頼があった時にまず、時代が変わったとことをお伝えしました。それまで直線道路を走っていたところに、急に曲がり角が現れたということです。当然、減速する必要があります。つまり、店舗経営として、リソースの使い方を一気に抑える必要があるということです。そして、車体の向きを変えるための作業に入らなければなりません。さもないと、崖に落ちてしまうということをお伝えしました。

 そこで私たちのチームは、《顧客ニーズを捉える》ことから始めました。その店舗で接客しているスタッフ数名と店長、そして、広報や経営を担当しているマネージャーを加え、改善チームを作りました。このチームで4日間のワークショップを実施したのです。用いた手法は、「ファンクショナル・アプローチ」です。

集客するのは誰のため?

 まずは、現行の集客手段から分析を始めます。集客につなげることを意図した全ての要素を抜き出していきます。メニュー、内装、看板、広告宣伝、スタッフの接遇など全てです。新規顧客に対する要素、既存顧客に対する要素を、もれなく集めます。

 この作業は、チーム全員で取り組みます。何をしているのか、そして、それにどのくらいのリソースをかけているのか。集客に関わる全ての行動とリソースを分析の対象とします。現行の集客手段のどこに改善余地があるのかを見つけ出すためです。

 集められた要素の一つひとつに、「その手段は何のためか?」と問いかけていきます。この問いかけは、集客手段の目的を探る問いかけです。もっと言えば、現行の集客手段のメカニズムを解明するためなのです。改善すべきなのは、集客手段ではなく、メカニズムだからです。

 分析の結果、メカニズムは図化されます。これまで、マネージャーも店長も、もちろん店舗スタッフも見たことのない、集客手段のメカニズムです。広告や接客がどういうカラクリで集客につながるのか、すべてが見える化できるため、全員で確認することができるようになります。そうしてようやく、議論ができるようになるのです。 次のページ来店するのは何のため?

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