日本列島は既にお花見が終わった地域、まだ咲いていない地域など様々だが、東京は3月下旬~4月上旬が見頃で、暖かく絶好のお花見日和だった。
今年は4月4日の「皆既月食」がお花見時期と重なり、北海道や東北地方など晴れた地域では夜桜と月食の競演が見られたし、お花見シーズンに合わせて来日した外国人観光客も多かった。
在上海日本総領事館の統計では、3月に中国人に発給した観光ビザは過去最多の14万6,000件となり、単月で過去最高の138万7,000人の外国人が来日し、「暴買い」が話題になった2月の春節時期を上回った。
そのため首都圏の4月上旬の宿泊施設の稼働率は軒並み90%以上となり、1泊30,000円のビジネスホテルまで登場したようだ。
私も4月初めに上野公園を見に行ったが、中国人観光客をはじめとした外国人が多いことに驚いた。
上野公園には毎年200万人以上の花見客が訪れるが、昨年は4割程度(前年比33.4%増)だった外国人比率が今年は5割以上になったとみられ、あるメディアが100人にインタビューしたところ、30の国と地域から来た人達だっとのことで、日本の「花見」が世界的に認知され始めている。
桜並木はカナダのバンクーバー、ドイツのボン、韓国ソウルの漢江(ハンガン)、フランスのパリ、スウェーデンのストックホルム、アメリカのワシントンなど世界中にきれいな場所はあるが、「開花予想」「開花宣言」などが気象庁から発表され、メディアが毎日のように報道するのは日本だけで、ぱっと咲いてあっという間に散ってしまう桜を毎年楽しみにしてきた日本の文化の一つだと思われる。
寿司、天ぷら、ラーメンなどの日本の食文化は世界に広まり、「和食」は2013年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産に登録されたが、桜のお花見のような文化も世界中に広まりつつある。
■souen 櫻井焙茶研究所
日本茶も日本の文化の一つだが、東京・西麻布に昨年12月にオープンした「souen 櫻井焙茶研究所」は店主の櫻井真也さんが江戸時代に煎茶を広めた「売茶翁(ばいさおう)」のように、日本茶の新しい「楽しみ」や「価値観」を広げ、もっとたくさんの人に伝えたいと開いたお店だ。
奥に8席ある茶房では、玉露、ほうじ茶、お菓子、お抹茶という「お茶のコース」(3,800円)が楽しめ、それぞれ三煎まで櫻井さんが丁寧に煎れてくれるが、日本人でありながら知らなかったお茶のおいしさを改めて味わえた。
また、玉露は三煎飲んだ後に、お茶の葉にポン酢をかけて食べられ、これもとても美味しかった。
桜のように日本茶も今後は世界に出てゆくと思われ、日本人としては今のうちに美味しさを知り、知識を身につけておいた方がよく、それにはここはとてもいいお店だ。