
今年で6回目となる東京マラソンが2月26日に行われ、競技の方では、実業団チームを辞めて「無職ランナー」となった藤原新(あらた)が2時間7分48秒で日本人トップの2位に入り、ロンドンオリンピック出場をほぼ確実にした反面、人気の「公務員ランナー」川内優輝は14位に終わった。

私は日比谷通りの芝・増上寺、日比谷交差点、銀座四丁目などで観戦したが、車いすランナー、競技のトップランナーは写真を撮るのも難しいぐらいすごいスピードであっという間に通過してゆくのに対して、市民ランナーはゆったりしたスピードだが、それがどこまでも続く大河の流れのような驚くほどの列となっていた。
今年は参加申し込みが28万4,000人で過去最高の9倍以上の抽選倍率だったので、選ばれた約3万6,000人はとても運がいい人だが、走っているランナーを見ていると外国人が目立つので、外人枠が多すぎるような気もした。
スターターを務めた石原都知事は、今回設けられた10万円以上の寄付で出場できるチャリティー枠(東日本大震災の復興支援などに充てられる)での参加が、「思ったより少なかったことが残念だ」と話していたが、これまで一度も当たったことがない私もこの枠の存在を知らなかったので、広報活動が足りなかったのではないかと思われる。
東京マラソンは、2016年のオリンピックを東京都に招致する構想の一環で2007年から始まり、ニューヨークシティマラソン、ロンドンマラソン、ボストンマラソンに匹敵する市民参加型大規模シティマラソンとして計画されたので、フルマラソンの制限時間が7時間、東京都庁をスタートして東京タワー近くを通り、皇居、銀座、今年開業する東京スカイツリーも見られる浅草などの東京名所を回って東京ビッグサイトに至る42.195kmというコースになっているため、東京観光もできるし完走できる人も多いが、当日は日比谷通り、晴海通り、中央通りなどの主要道路で最大6時間を超える交通規制が行われるため用事のある人は困ることがある。
そのため私もこの日は都内に出掛けることをこれまで敬遠していたが、今回見に行って出場者、応援の家族や友人の多さに、日本のマラソン熱の高さを改めて実感できた。
また、昨年の東京マラソン日本人トップで一躍有名になった「公務員ランナー」川内優輝を応援にわざわざ来ている人もとても多く、銀座通りでは川内が走っている所が分かる程の声援の波が通り過ぎていった。
2008年の第2回大会における経済波及効果が376億円という試算があり、コース沿道の飲食店では売り上げが普段の1.5倍~2倍に伸びるともいわれているが、東京マラソンだけでも約30万人の応募者、200万人の沿道の観衆、約1万人の市民ボランティアがこのイベントに関わっていることを考えれば、マラソン熱を単なる社会現象と捉えるだけでなく、自社のビジネスにつなげることも考えてみる必要もありそうだ。
======== DATA =========
●東京マラソン2012