今年3月31日に、83年(1942年=昭和4年開業)の歴史を持つ三越新宿店が閉店、その跡地に7月5日、ビックカメラ新宿東口新店がオープンした。
三越新宿店は、2005年に百貨店からテナント集積型の都市型ファッションビル「新宿三越アルコット店」に業態転換したが、新宿通沿いの1階には「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」や「Tiffany & Co.(ティファニー)」が並び、上階にも「Gap(ギャップ)」、「ジュンク堂書店」などが出店していたが、隣にマルイ新宿本館、斜め向かいに伊勢丹新宿本店がある「百貨店などが多いファッションの街」であるため、ビックカメラも女性客を中心に幅広い層の新規顧客を取り込む店づくりをしている。
ビックカメラのフロア構成は、1階をビューティ家電売り場(ビックビューティー)とし、10人ほどの女性店員が接客するナノイオンドライヤー、空間清浄機などのアロマ家電、各種美顔器などの体感コーナーを設け、来店客がゆっくり比較して購入を検討できるようにしているが、好調でレジを当初の3台から5台に増やしたとのことだ。
地下鉄から直結する地下3階はカメラ、地下2階はパソコン、一つ上がった地下1階がケータイ、スマートフォン売り場だが、これらも百貨店の化粧品売り場のようにブランド毎に整然と並んでいて、従来の家電量販店の雑然とした感じがない。
4階のオーディオ売り場でも、高級ヘッドホンや高級スピーカーなどを体感、比較できるし、5階の家電売場ではエスプレッソメーカー、海外のデザイン家電など高級商品なども数多く並んでおり、6階には掃除ロボットのコーナもあるなど、百貨店顧客を取り込む品揃えがされている。
店舗の外装も白い外壁に「ビック」とのみ描かれたシンプルなもので、店内に流れる「ビーック、ビック、ビック、ビックカメラ」というお馴染みのBGMも歌詞のないボサノバ調の曲だけを静かに流し、ディスプレイ什器や展示の仕方もゆったりとした雰囲気になっている。
1万5,000m2の店内には、その他にもオモチャ、クスリ、メガネ、ゴルフクラブ、自転車、お酒、高級時計などの売り場がある。
■家電量販店の再編
家電量販店は、これまで主力だったテレビの販売が落ち込んだり、ネット販売との競争激化などにより販売が苦しい状況が続いており、6月にビックカメラがコジマを買収し、売上規模が合計で9,000億円と業界2位になると、7月には業界1位のヤマダ電機がベスト電器の買収を発表(売上合計で2兆円を越す)するなど、再編の動きが進んでいる。
その中でオープンしたビックカメラ新宿東口新店は、秋に1~3階にユニクロのオープンが決まっているので、今でも来店客の女性比率が通常40%を上回る約半数だが、今後は女性の方が多く訪れる店となりそうだ。
秋葉原や従来の家電量販店を苦手とする主婦層や、中高年の女性も抵抗なく入れる「デパート風家電量販店」という新たな店舗として注目している。
======== DATA =========
●ビックカメラ新宿東口新店
http://shinjuku-3choume.biccamera.com/top/
所在地:東京都新宿区新宿3-29-1
tel:03-3226-1111
営業時間:10:00~22:00 年中無休