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第2回 今こそ街に出て《街情報》《人情報》をゲットしよう

次の売れ筋をつかむ術


GDPの伸び率は再びマイナスとなり、居酒屋の倒産も前年比4.1%増の過去最多を記録。
しかも、11年度中の消費税アップがほぼ確定し、さらに消費に冷水を浴びせかける。

しかし、「人の行く裏に道あり花の山」。今こそ、街に出て、人に会おう!



「疾風に勁草(けいそう)を知る」

 東京都内でもあちらこちらのビルにも「テナント募集」の張り紙が増え、駅から少し離れると、まるで地方の商店街のような「シャッター街」一歩手前の通りも出てきている。屋外看板には「広告主募集」の文字ばかりが目につく。

 また、昨今、銀座や六本木周辺では、店舗・個人宅を問わず〈夜逃げ〉が増えている。しかも、イスやテーブル、家具を置いたまま逃げる〈置き逃げ〉が横行し、大家を困らせている。

 「3K」出費(広告費・交通費・交際費)が削られ、ウイークデーでも電車がなくなる時間になると、幹線道路や繁華街は休日のように静まり返る。

 しかし、「人の行く裏に道あり花の山」と株の名言に言われるごとく、今こそ、街に出て、人に会うべきだ。

 中国の後漢書の「疾風に勁草(けいそう)を知る」という言葉の通りである。激しい風が吹けば弱い草は折れる。疾風によって強い草が見分けられるように、厳しい世の中になってはじめて本当に強い者が分かる。

 今、街を歩けば、何が「勁草」なのか一目瞭然だ。どの店に客が来ているのか、どんな商売が元気なのか、肌で感じられる。

 例えば、飲食店でも、客単価1000円前後の安い店ばかりが好調なのではなく、10000円前後でもしっかりと固定客をつかまえている店もある。
東証2部上場の「ひらまつ」(http://www.hiramatsu.co.jp/restaurant/)グループのフレンチやイタリアンのレストランや中国飯店グループの「富麗華」(http://www.chuugokuhanten.com/storefureika/index.html)など、和洋中を問わず、にぎわっている店もたくさんある。

 全体的に見れば閑古鳥が鳴いている銀座のクラブも、「麻衣子」(http://club-maiko.com/)、「サードフロア」といった人気店は平日でも客でいっぱいの時さえある。元気な店は「どうせ行くならば、あの店に行こう」と思わせる何かを持っている。元気な店に行けば元気をもらえるし、そこに来ている客も、今時元気な人ばかりなので、勉強になるし、ビジネスチャンスにもつながる。

 それに、今、街に出れば、レストランガイドの「ミシュラン」で星付きの高級レストランや高級クラブでも、一見の客も大切に扱ってくれるし、顧客を接待すれば喜ばれる。平日の、特に雨の月曜日や火曜日は狙い目だ。モテるのは言うまでもないし、一度行っただけで感謝され、覚えてもらえる。



「大変!」=「大」きく「変」わる

 「大変だ!」というが、〈大変〉とは「大きく変わる」という意味だ。大きく変われば、当然、新たなビジネスチャンスが続々と生まれる。

 今は、〈人〉〈モノ〉〈金〉が余りまくっている。新たな事業をスタートするには費用が少なくて済むし、好都合だ。

 例えば、本来、飲食店が賃借物件から撤退する際には、設備はすべて取り払い、スケルトンの状態に復帰して退店しなければならない。しかし、設備を取り払って退店するには出店するのと同じくらいの費用がかかる。今のご時世、その費用をあがなえないテナントも多い。

 すると、それをこれ幸いと好機にする者もいる。飲食店の新規出店に際して最もお金がかかるのは厨房や排気の設備費用である。前のテナントがそれらを残して行った物件を、〈居抜き〉で借りて、繁盛させている店もある。新たな借り手にとっては、初期費用が節約できるのだ。

 松村厚久社長率いるヘラクレス上場のダイヤモンドダイニング社(http://www.diamond-dining.com/shops/type.html)も、その手法を活用して、「龍馬が如く」をはじめ100業態100店舗を達成し、さらに成長を遂げている。

 テレビの「マネーの虎」で知られるHYシステムの安田久社長は、銀座のコリドー街の200席もの店舗を居抜きで借り、徳島郷土料理店「阿波おどり」(http://awaodori.hy-system.com/index.jsp)を開店した。東京・高円寺の本格的な阿波おどりチームが客とともに踊り、新鮮な魚や鳥料理を提供して、連日、大盛況だ。

 前の店がツブれた物件は縁起が悪いなどと言うなかれ。松下電器の松下幸之助氏も関西の鬼門に当たる門真に本社工場を構え、その後の大を築いた。

 同様に、〈置き逃げ〉された部屋を家具付きで借りれば、家具を買う必要がない。欧米のコンドミニアムのように家具付きマンションだと考えればよい。

 今後、ますます、店舗や個人宅の〈置き逃げ〉が増えそうだ。しかし、貸し手も、何カ月分もの家賃を踏み倒され、後片付けまでさせられたのではたまらない。そうなる前に早く出て行ってもらおうと、最近は家賃が1カ月遅れると様子を見に行き、2カ月滞納すれば追い出しにかかる。2カ月分の家賃を取り損ねても、さらに長期間賃料を滞納された上に置き逃げされるよりは、結果的に被害は少なくて済む。

 変化のサイクルが早まっているので、ただオフィスや自宅でパソコンとにらめっこしていても、価値ある情報は入って来ない。お得な情報は出た瞬間に奪われる。

 条件の良い〈居抜き〉物件情報は不動産屋の店頭やインターネット上に出る前に成約している。それらが公になれば現状復帰するテナントなどいなくなるし、次の賃貸条件も悪くなる。だから、ビルオーナーも情報の開示をためらう。

 そういった情報を得るにも、街に出て、「自らこまめに歩く」べきだ。好立地にもかかわらず景気が悪そうな店があれば、ビルの管理会社を探して訪ね、「あの物件が空けば教えてくれ」とお願いしておく。また、その店と取引している酒、コーヒー、リネン、生花などの会社の担当者が出入りしていれば、声をかけて、売り掛けの回収に滞りがないかなど経営状態の把握に努め、退店のタイミングをいち早くつかむことが大切だ。



今こそ、街に出て、人に会おう!

 景気が悪くなると人との交流も減りがちだが、今こそ積極的に人に〈会う〉べきだ。「経営者の友人に会うと『金を貸してくれ』という話ばかりなので出たくない」という人もいるだろう。たしかに友人間の金の貸し借りは止めた方がいい。

 しかし、いつの世も貴重な情報は人に会うことでこそ得られる。メールや電話だと言い出しにくいことも、面と向かって会えば、特別に有利な条件が提示されることもある。

 例えば、アパレル企業が余剰在庫を抱えていたり、売れ筋商品があっても資金繰りに窮して早く現金化したい場合、ネットで安売りしてしまうと値崩れを起こすので取引先から反発を食らい、取引停止になりかねない。そういった時、直接会って話していると、「実はこれを処分したいのだが」と本音が出て来ることもある。古くからの友人知人であっても個別に直接会わないとなかなか本音は出て来ない。

 もちろん儲け話にはガセネタも多い。特に融資や投資話、権利関係が複雑な不動産は要注意だ。判断力と断る話術も重要である。また、会う前に相手の経営状態を徹底的に調べることも大切だ。
 
 例えて言うならば、外に出れば病原菌に冒される可能性もあるが、内にこもってばかりではひ弱になって免疫力も低下してしまう。景気の良し悪しにかかわらず、ある程度、街に出て人に会う機会をつくっていれば、危ない話に惑わされない免疫もできる。

 私自身の体験談をお話ししよう。あるレストランで食事をしていると、偶然、近くにすわっていた大手デベロッパーの専務と部長とおぼしき2人の会話が耳に入ってきた。そのデベは別の大手メーカーによる再開発計画への参加を予定しており、新聞でも決定事項のように報じられていた。たまたま、私はそのメーカーに対して施設計画のプレゼンテーションをする直前だった。ところが、漏れ聞く話では彼らはそのプロジェクトから撤退するかのような話しぶりだったのだ。そこで私はメーカーに、そのデベが降りた場合を想定したプランも提案した。その2週間後、本当にそのデベはプロジェクトから撤退し、私のプランが採用された。

 本当に有益な情報は街に出なければ得られない。ネット情報は誰もが知っているか不確定なものばかりだ。《街情報》《人情報》こそがカギとなる。今こそ、街に出て、人に会おう!




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