前回、「笑顔を大事に、接遇を再チエック」についてお話しました。今回は「教える前に自分が出来ているか総チエック」についてお話します。
この時期はどちらの会社でも、新人を迎える前の大事な時期です。指導者・教育担当者・先輩社員はもちろんですが、「個々の社員」が仕事の忙しさに大切な項目を忘れてしまっていないか総チエックする大変よい機会です。何故なら新人さんにとって皆さんは、すべて見習うべきお手本だからです。
例えば新人さんは、指導者からAということを教えてもらうと、私もこれから接遇を頑張ろうとモチベーションが上がります。ふと周りを見ると周りの皆さんは……なるほどその通りに動いていると新人さんに感じさせるか、あるいは指導されたことをなさっていないなと感じさせるかは皆さん次第です。その意味からしっかり私は「個々の社員」という言葉を使いました。個々の社員が当たり前に出来るということは、さらに言うと社風や風土に繋がるのです。
1. 笑顔で話す。皆様、いつも笑顔で話しをすることが出来ますか?これはお客様にとって大変嬉しいことです。されたら嬉しいけれど、自分がする側と思うと難しいのが現実ではないでしょうか。スキルとして身につけていただくのにはどうしたらよいか、一年以上前になりますがかなり考えました。そして辿り着いたのが、「『イ段』の音の連続でトレーニングする」でした。
「イ段」は母音「アイウエオ」の二段目の「イ・キ・シ・チ・ニ・ヒ・ミ・イ・リ・イの音で、どの音も母音の中で口を横に一番開きます。開くということは、口角が上がります。口角が上がると、地声より音程が全体に少し上がり、明るい響きになります。表情筋も動くため顔が笑顔になります。「イキシチニ~」を使って言葉にしたのが、「石・岸・西を意識する」です。何と12音のうち9音が「イ段」の音です。そこで「イィキィシィチィニィヒィミィイィリィイィの音からイィシィ・キィシィ・ニィシィをイィシィキィ(意識)する」を自分でも5回続けて言うことを試しました。しっかり顔の下半分の表情筋が柔らかくなった感触がありました。この回数はご自分で判断してご自分用の回数に変えてください。必ず自分の「良い笑顔」を短期間で手に入れることが出来ます。
2. 身だしなみは当たり前ですが、自分本位のおしゃれと違って『お客様本位』です。細やかに神経を使って、この方からなら安心してその応対を受けられると思わせてください。例えばどんなことについて気を配るとよいでしょう?自分のための髪型ではありませんか?前髪が眉毛より長くないですか?名札は読めれば付け方が曲がっていてもよいですか?ユニフォームのボタンが取れかけていませんか?ストッキングが伝線していませんか?靴に汚れはありませんか?
「美は細部に宿る」という言葉があります。お客様の前に立つのですから、是非細部までこだわりましょう。
3. お辞儀の仕方。まず背筋を伸ばして綺麗に立ちます。手は指を揃えて伸ばします。手は前で組むか(このとき、効き手を下にして組みます。あなたに刃向いませんと言う意味が伝えられます)。脇で伸ばすときは5本の指を全部脇で揃えて伸ばし、中指をズボンやスカートの脇の縫い目に沿わせます。(立ち姿が綺麗に収まります)。顔はもちろん笑顔で!
次に表現したいお辞儀の角度に、腰から上を曲げることなく折ります。(ひらがなの「く」をイメージしてください)この角度で一拍静止します。ここがお辞儀の一番のポイントです。お客様に丁寧さを伝えられます。ただしお辞儀については「型」でトレーニングをなさったら、続いて職種に合った、または会社に合った「形」を追求しましょう。
私は「総チエック」にもかかわらず、以上の3点のみしか書いておりません。それにはしっかりとした理由があります。3点とも瞬時にお客様の視覚にお見せ出来ます。このことを「個々の社員」がパーフェクトになさってくださると、会社の印象は想像以上にアップするとお約束出来ます。そのかわり、笑顔も身だしなみもお辞儀もビデオを撮って、細やかにチエックをしましょう。より上質な仕草に仕上げていただきたいと思います。
別の角度から申しますと、クレームの研修のおり1の笑顔については、あるショップの現場で「店員に笑顔がない」とクレームを受けたことがあると聞いております。2については、「名札が曲がっているのに気づかないってどういう神経をしているの?」とお叱りを受けたと聞いております。3のお辞儀については、「型」だけで気持ちがこもっているとは感じられないと言われたそうです。
前述でお気づきになるでしょうが、これらの3点をパーフェクトにするだけで、角度は違いますがクレームの予防にも繋がります。また、3点の中身が濃くなるとそれに比例して「聴覚」にかかわることも気になり、皆さん全員でもっと伸びたいという『欲』が生まれてきます!自分たちで学びあって分からないことが出たら、いつでもご連絡ください。喜んで協力をさせていただきます。