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戦略・戦術

第278号 稼ぐ哲学としての「3つの視点」

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 「通販は、小売業の一部である」。この持論は、通販コンサルタントとして常々皆さんに伝えている言葉だ。これは、有店舗販売と同様に通販においても顧客コミュニケーションが何より重要ということで、顧客と対面できない通販では、高いレベルでの「伝える力」「伝わる表現の工夫」が求められている。

 それを見事に体現していたのが、ジャパネットたかた創業者の高田明氏である。顧客目線での利用価値と利用シーンを提案することにより商品価値を高めて、視聴者の「買いたい!」気持ちを喚起することが非常に上手かったことは、ご存知の通りである。

 ジャパネットたかたを一代で1000億円企業にした高田氏は、稼ぐ哲学として「3つの視点を持つ」ことを提唱している。その1つ目は『我見』。自分から相手を見る視点のことだ。2つ目の『離見』は、相手が自分を見ている視点。そして3つ目が『離見の見』だ。これは、俯瞰するように全体を客観的に眺める視点を指す。商品を売る上では、自分の言いたいことだけを説明する『我見』だけではダメで、『離見』『離見の見』が重要となる。これらは、能楽を大成させた世阿弥のことばであり、近年、ビジネス戦略論としても注目されている考え方である。

 高田氏は、これらの視点をテレビショッピングの制作現場で、このように操っていた。『離見』の視点により「こんな値段なら買ってもいいな」「こんな商品ならあってもいいな」と顧客の生活目線で利用シーンを考える。番組に出ている自分とそれを見ている消費者全体を俯瞰する『離見の見』により、「この状況なら、どう伝えるのがベストか」を考える――といった具合だ。

 自分を完全なる客観者に変換して顧客の感性に近づき、“自分事としてお客さまに伝わる”ように状況判断することを可能にするこの3つの視点は、「お悩み解消ビジネス」である通販には必要不可欠である。 

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