有益な3つの認証
では、具体的にどんな公的認証があるのか、代表的な3つを具体的に見ていきましょう。
1. くるみん・プラチナくるみん
「くるみん認定」とは、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる企業を厚生労働大臣が認定する制度です。「プラチナくるみん」はさらに高い水準を満たした企業に与えられます。
その目的は、育児や介護といった大きなライフイベントを、キャリアの「停止ボタン」ではなく「継続のための支え合い」に変えることです。
主な基準としては
・男性育休取得率の達成(例:7%以上)
・女性育休取得率75%以上
・所定外労働の削減
などが求められます。
育児をめぐる職場対応は、年々柔軟さを求められるようになっています。また、高齢化社会を迎えて、介護は全員が体験する出来事となりつつあります。この認証取得は、社員が妊娠・出産、子育てといった大きなライフイベントを迎えても、「この会社なら辞めずに続けられる」という安心感を与えるためのマークです。言い換えると、そうした出来事があっても、キャリアをつぶさなくてよい、という安心感を与え、実際に、組織自体が柔軟で強い仕組みを持っていることの証にもなります。
特に男性の育休取得は、女性社員のキャリアへの安心感と、組織の公平感を劇的に高めるものと考えられます。
2. えるぼし・プラチナえるぼし
「えるぼし認定」とは、女性の活躍推進に関する取り組み状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。「プラチナえるぼし」は、さらに高い水準を満たした企業に与えられます。具体的な基準には
・採用における男女の競争倍率が同程度であること
・継続就業(平均勤続年数など)の達成
・管理職に占める女性割合が平均以上であること
など、多角的な基準があります。言うまでもありませんが、世の中の半分は女性です。まだまだ十分な能力を発揮できていない、環境に恵まれない人材がたくさん眠っているのです。また、女性が参画する組織は、意思決定層に多様な視点をもたらし、イノベーション創出の土壌となることが知られています。
3. ユースエール
「ユースエール認定」とは、若者の採用・育成に積極的で、雇用管理が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。
主な基準としては
・新卒者の離職率が20%以下であること
・月平均所定外労働時間が20時間以下であること
・年次有給休暇の平均取得日数が10日以上であること
などが定められています。この認証は、若い人材が定着してきた実績を端的に示すもので、若年層にとっては、重要なポイントです。このマークがあることで、「ブラック企業ではないか?」という不安を払拭できるからです。
会社にとっても、有望な若手が安心して挑戦し、成長できる環境は、将来の幹部候補を育てるための最良の初期投資です。
認証取得企業一覧 ―実際の検索画面―
これらの認証を取得している企業は、厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」(ユースエール検索画面)などで誰でも検索できる状態です。フィルター機能によって、求職者は、このリストから企業を「選別」することができるのです。複数の認証を取得していれば、より選ばれやすくなります。
仮に、同業他社が積極的に認証を取得している中、何も取得していない企業があれば、「この会社は大丈夫なのか?」とネガティブに思われる時代がすでに到来しているのです。





















