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人事・労務

第42話 2012年・年末賞与はどのように決めるか

「賃金の誤解」

 2012年も残りわずかになりました。今年を振り返れば ①ギリシャに始まりスペイン、ポルトガルそしてイタリアにまで、EU金融市場の混乱は広がりました。②そうした欧州への輸出減の影響を受けて中国の経済成長は鈍化 ③ユーロ安、ドル安、先の見えない円高に身動きのとれない日本。加えて ④韓国との竹島問題、中国の怒りをかってしまった尖閣国有化等、経験したことのない事態連続の1年でした。
 
 内閣府は10月の月例経済報告において「景気は、引き続き底堅さも診られるが、世界景気の減速などを背景として、このところ弱めの動きとなっている」とし、3カ月連続で基調判断を引き下げました。
 
 2012年9月の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIは3期ぶりの悪化となり、景気の踊り場入りを確認する内容であったが、過度に悲観的な内容とはなっていない。なお、今回の短観の回答基準日は9月11日であったことから、中国での反日運動等の影響は織り込まれていないとみられる。
 
 そんな今年、年末賞与はどうすべきでしょうか。
 労務行政研究所は9月12日、一部上場企業の2012年年末賞与・一時金(冬のボーナス)の妥結状況を発表しました。それによると、冬のボーナスの平均額(加重平均)は前年同期比1.1%減の694,581円。業種別にみると、製造業は前年比1.3%減の705,724円、他方、非製造業は前年比0.1%増の645,154円となっています。この集計で回答した上場企業の大半が、春闘で年末賞与を含めて妥結していることを考えれば、納得できる数字かも知れません。
 しかし、極端な円高、世界景気の減速、中国との関係悪化等を過小評価できないとする中堅企業も少なくありません。これから本格化する年末賞与の確定に、そうした背景を加味する企業もあると予想できます。
 
 私ども賃金管理研究所は諸事情を加味して検討した結果、主要企業は昨年に比べ平均で3.2%減、中小企業は平均で1%減と予測しました。
 ただし、これらの数字は平均値であり、個別企業における賞与総額は自社業績を根拠に決定されるべきものです。昨年並み以上とする企業もあれば、より厳しい対応をせざるを得ないと判断する企業も出てきて当然です。
 さらに賞与総額決定の次に来る個別の賞与金額の決定にあたっては、成績評価制度を正しく運用し、半年間の仕事の成果とプロセス(個々の社員の仕事品質)をきちんと評価して、納得できる賞与金額を支給することが大切であり、総和としての仕事力を企業全体で高め、明日につなげていくことが大切です。

 

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