「コミュニケーションを身につけさせるためには」
◆「コミュニケーションをテーマにした社員教育の方法」◆
コミュニケーションとは、「自分から心掛ける」ことを前回の「コミュニケーション能力を身につけさせるには」でお話をいたしました。今回は自分から心掛けることにより、どのようなことが起こるか、についてお話ししましょう。「個人」と「会社」に分けてお話ししていきます。
■個人の場合
●仕事の効率が上がる
お互いの間にコミュニケーションが取れていると、時間の削減ができます。たとえば、メールをする場合でもコミュニケーションが取れている相手に送るときはメールの字数は少なくてすみます。しかし、あまりコミュニケーションが取れていない人に送る時は相手の理解に差が出ないように説明をするので、自然に文字が多くなります。また、急に土日に連絡がしたいことができたとき、月曜日まで待つか、「お休みのところを申し訳ございません」を付け加えてすぐに連絡を取るかの差がでます。
●好印象を与えられる
コミュニケーション能力の高い人は自らかかわろうとする意欲が高いので、人と接する瞬間の笑顔の単位も大きくなり、豊かになります。例えば受付の方が笑顔でお客様を迎えたとき、笑顔の中から「ようこそいらっしゃいました」が聞こえてきます。
コミュニケーション能力がさらに高い方の笑顔の中からは、「ようこそ、お忙しい中をわざわざ当社においでいただきありがとうございます」。このようにたくさん聞こえてきます。嬉しさがだんぜん違いますね。ここで初対面の距離がすでに変わってくるのです。
●仕事が楽しくなる
人と人との関係が密になりますから、周りの人に対しての気づきが多くなります。
例えばAさんが、
一、いつもより顔色が良くない
二、元気がないみたい
三、歩くスピードが遅い
四、いつもより笑顔が少ない
五、声がいつもより小さい
六、背筋が伸びていない
七、話すときの声が低い
八、あまり電話に出ようとしない
九、時々、目線が遠くなる
十、ため息がたびたび聞こえる
など、いつもと違うとき、「どうしたの?」と声かけができるようになります。
誰もが人に関心を持たれて気分が悪くなると言うことはありません。お互いが相手を家族のように大切な人と思い合える関係がそのまま仕事に生かせると人間関係は楽しくなります。
もちろん社外の人との関係も同じです。私は、A社の前を通ってB社に向かうとき「松尾です。ただ今10時15分、A社の前を通過しました。来週の打ち合わせよろしくお願いいたします」と、メールをします。すると、相手の方から「来週の打ち合わせ、こちらこそよろしくお願いいたします。お互い一日頑張りましょう」とメールが返ってきます。お陰様で私は楽しい気持ちでB社に行くことができます。
●周りの人に助けてもらえる
コミュニケーション能力の高い人は、所属部署の中の人はもちろん、他部署の人とも良い人間関係を築いているものです。何かの案件について詳しく知りたいと思った時でも、その案件に詳しいCさんを思い出し、あなたはすぐにCさんに聞きに行くことができますし、教えてもらえます。自然と情報が集まり、仕事の効率が群とアップします。
●お客様から自分や自社を選んでもらえるようになる
お客様はとても敏感です。軸足を自分に置いてくれているかを言葉以前に感覚で察知します。無意識のうちに自分の都合に、自分中心の姿勢・思考にならないように気をつけなければなりません。
以前、新宿でタクシーに乗った時のことです。運転手さんが車を動き出す前に、ひと言、「はい、動きます」という言葉を話されました。お客様にしっかりと軸足を置いているからこそ出るひと言だと感じ入りました。今でもそのタクシーの会社名は覚えております。
●会社の評判が良くなる
お客様から自分や自社を選んでもらったという結果を出せることは「会社の評判が良くなる」ことに直結します。お客様が受けた嬉しい体験は、会社側から頼まれなくても、誰かに伝えたくなるものです。言葉は適切でないかも知れませんが、お客様が自らPRしてくれるのです。
●周りの人に助けてもらえる
コミュニケーション能力の高い人は、所属部署の中の人はもちろん、他部署の人とも良い人間関係を築いているものです。何かの案件について詳しく知りたいと思った時でも、その案件に詳しいCさんを思い出し、あなたはすぐにCさんに聞きに行くことができますし、教えてもらえます。自然と情報が集まり、仕事の効率が群とアップします。
●チームワークがよくなる
お互いのコミュニケーション能力によって、社内での相互関係が近くなります。チームがセカンドファミリーになった時、絆は深く、太くなります。仲間の喜びは自分の喜びという一体感が、同じ方向に向いたとき、力を加速させることができます。ある研修で参加者の全員の笑顔をセンサーでキャッチさせ数値で表示するカメラで撮影しました。笑顔がコミュニケーションの大きなスキルだからです。100%の数字を出させないと、その人の好きなタレントの名前を言いながら手拍子をしたり、カメラの後ろにまわっておどけたりと応援しました。参加者21名全員が100%の笑顔をだせた瞬間の喜び方は、部屋が壊れそうなほどの歓声でした。すると、その後から終了までの時間の質が確かに変わったのです。講師として大変嬉しく思いました。
●お客様を紹介してもらえるようになる
皆さんは自分が「よかった」と思ったとき、人にこのことを秘密にしようとしますか?、それとも人に伝えたいと思いますか?。大部分の方が伝えたいと考えるでしょう。それが仕事においては紹介という形になります。ここで大切なのは、人は自分に対してしてくれたことと同じだけのことを相手に絶対してくれるという確信がないと紹介する気持ちになれないということです。お客様の信頼を得るには、「いつも例外なく軸足はお客様」である必要がありあす。
以上、コミュニケ-ションを個人として、会社としての視点でとらえた話を進めてきました。さらにプライベートでも同じことが言えます。よほどの関係ではない限り、心は人には見えません。誰にでもその心が見えるように表現できれば、あなたは心を人に伝えることができます。心が伝えられる人は、周りの人と近道で良い関係を結ぶことができるのです。