前回は、「社内のスタッフ間のメールでの伝言や確認業務、進捗報告、相談など、やり取りする際のポイントや注意点」についてお話しました。今回は「新入社員の模範として立ち回りが出来るよう、接遇マナーの基本を再点検する時の5つの確認事項について」です。
新入社員は早く先輩のように何でも出来るようになりたいと、いつも先輩を憧れの目で見ています。このとき先輩であるあなたは重要な役割を果たさなければなりません。いろいろな会社の皆様から共通して感じるのは、忙しさや仕事の慣れからか、お客様対応のレベルが時にガクンと下がってしまいます。ここを押さえておかないと、ブーメランのようにクレームという形で会社に戻ってきてしまいますから気をつけなければなりません。
基本の再点検を5つに絞ってお伝えします。
※接遇マナーの確認事項
① 感じのよい挨拶と返事
「おはようございます」や「お電話ありがとうございます」を無意識にいうと、「お」の音程は母音の中で一番低いので自分では全く気づかない暗い挨拶になってしまいます。「お」を発声するときは口の中に洞窟を作るようなイメージで少し力を入れて言うと、無意識のときより少し高い音程が出ます。ご自身で比べてみてください。明るい挨拶になることがお分かりになるでしょう。
返事は「いつも」すぐに「はい」です。これを現場でやり続けてください。お客様の立場からみても、あなたは仕事の出来る人に映るでしょう。
② 印象を高めるための笑顔
何といっても接遇の大事なポイントが笑顔です。笑顔の効用はいくつもありますが、先輩としてパーフェクトな笑顔を伝授なさってください。笑顔はお客様への第一番目のプレゼントです。新入社員に笑顔を意識してもらうには、先輩が業務の中で「いつも」笑顔でいることです。お手本を見せ続けなければ、納得してもらえません。時には辛い時もあるでしょう、でも頑張って笑顔をお願いします。笑顔が道を開きます。
③ 組織人としての身だしなみ
「お客様」をお迎えする時の身だしなみは一瞬で評価されます。それも個人としてではなく組織を評価されます。きちんとした身だしなみを瞬間に伝えられるのは髪型です。ビジネスマナーでは、女性の場合肩まで髪が伸びたら後ろで結びます。ある会社の午後からの集合研修で、髪を結んでいる女性が二人いました。一人は遊び毛が出ていて、残念ですが身だしなみOKとはいえませんでした。もう一人の人は髪の印象がスッキリしていたので休憩時間に、どのようにしているのと聞きました。答えは「整髪料を使っていることと、毎日昼休みには解いて結び直しています」でした。まさにプロですね。
名札も目につくので気をつけてください。
少し斜めになっていると、「この人は自分の名札が曲がっているのも気づかないのだから、良い仕事は出来ないかも」と思われてしまっても仕方ありません。細かいところにも目配りを怠らないように気をつけましょう。微差を積み重ねると大差になり得るのです。
④ 「魅せる」態度
所作において特に大切なのが「指先は揃えて伸ばす」です。所作が美しいと自然に魅入ってしまいますから、先輩は忙しさについ忘れてしまわないよう、指先の先までその所作にはお気をつけください。
お辞儀は綺麗な立ち姿でお客様とアイコンタクトを取りながら、明るく元気な挨拶をします。頭を下げるときは腰から曲げます。このとき「背筋はまっすぐ」が基本です。
⑤ 社格を上げる言葉遣い
まず最近特に気になっているのが「他人事」の読み方です。アナウンサー・会社の社長・そして政治家までがテレビの中で、「タニンゴト」と言っているのを聞いてびっくりしています。これは「ひとごと」が正しいです。
その意味から、コミュニケーションは言葉を介して行なわれますから、言葉使いには敏感でないと、正しい言葉遣いが出来ない会社と評価されてしまいます。特に気をつけたいのは、お客様とあなたの上司とあなたの3人でいるときの言葉遣いです。会社の中では上司には敬語ですから、頭でわかっていても急にお客様を交えての話ですと、上司にうっかり敬語を使ってしまうケースも少なくないです。また、取次電話で名指し人が本日休みのとき、お客様に対して丁寧な言葉を使うつもりで、「本日、〇〇はお休みをいただいております」と言いがちです。会社の人間に「お」をつけるのは間違いで、「休み」が正しいです。「いただく」の謙譲語の先は会社なので、社外の人には、「取っている」を使います。『休みを取っております』をさらりと正しく言えているかチエックをなさってください。たかが言葉一つの問題ではありません。一つの言葉を拘ると、ほかの言葉にも神経が行き届くようになります。
最後に、①~⑤の項目とは別に、電話応対があります。電話で一番気をつけたいのは、電話応対中、目の前にお客様をしっかりイメージして話すことです。それによって対面で話すときと同じように、抑揚や「間」を自然に入れた応対が出来ます。新入社員へのお手本として是非頑張ってください。ときには「私も○○は実はよく分からないので、一緒に勉強しましょう。」と言うのも、新入社員にとって先輩との距離が近くなってよいでしょう。