スマートフォンおよび音楽や動画のサブスクリプションサービスが普及し、コンテンツに触れる時間が長くなりがちです。こうした中、社会的な問題となっているのが「ヘッドホン難聴です」。
「ヘッドホン難聴」とは、正確には、大きな音を長時間聞き続けることによって引き起こされる「騒音性難聴」ですが、近年はイヤホンを含むヘッドホンの利用者拡大に伴ってリスクが高まり、また、一度失った聴力は回復が困難であることから、WHOが「11億人の若者が危機に晒されている」と警告し、広く認知されるに致しました。
現在では、WHOと機器メーカーが策定した基準に沿い、スマートフォンなどにはユーザーの聴覚を守る仕組みも備わっているので、積極的に活用したいものです。
■騒音性難聴のリスクとは?
まず、「騒音性難聴」は、「音の大きさ」と「聴取時間」が関係します。極端には、車のクラクションのような大音量でも、短時間であれば大きな問題はなく、逆に、それより小さな音でも長時間聞き続けると、難聴のリスクが高くなります。
因みにWHOは、ヘッドホンによる難聴を予防する目安を「80dBで週40時間まで」としています。
因みに、80dBの音とは、どのくらいでしょうか? 身近な例としては、走行中の地下鉄車内が、80~90dB程度とされています。乗客として1日に数時間の利用であれば問題が無いレベルと言えますが、この騒音に負けないようにヘッドホンの音量を大きくしている方は注意が必要です。
■機器の設定でリスク回避。iPhoneの例。
日本でシェアの高いスマートフォンiPhoneにも、難聴を予防するための機能が備わっています。
設定項目の中に「ヘッドフォンの安全性」、「大きな音を抑える」、という項目があり、この設定を行っておくと、音量を最大に調整しても、設定限度以上に音が大きくなりません。厳密な音量はヘッドホンやイヤホン製品によるところもありますが、心配な方は最大音量を小さめに設定しておくと良いでしょう。
【iPhone画面例: 音量が大きくなり過ぎないように、最大音量の制限設定が可能。】
■ヘッドホン(イヤホン)を有効活用
ヘッドホンは製品によって、耳栓のように周囲の騒音を軽減する効果が期待できます。騒音が大きな交通機関を利用する際は、ヘッドホンを上手に活用するのも良いでしょう。
また、最近では、電気的に周囲の騒音を相殺して低減するANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)機能を搭載した製品も増えています。ANCを利用すると、周囲の騒音が軽減されるので、相対的にヘッドホンの音を小さく調整しても聞き取り易くでき、結果、難聴のリスクを低減することに繋がります。
■さいごに
イヤホンを含むヘッドホンでは、周囲に騒音迷惑をかけないので、音楽をついつい大き目の音量で、しかも長時間楽しみがちなのが問題です。ヘッドホンは構造上、スピーカーで聴くよりも難聴のリスクが高いと認識し、普段から気を付けたいものです。ヘッドホンは、いつでもどこでも、楽しみや学びをもたらしてくれる便利な機器。無暗に恐れず、上手に使いこなして、生活を豊かにしたいものです。