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第84回 平山温泉(熊本県) スベスベヌルヌル「美肌の湯」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■テレビ番組のウソ

「わぁー、お湯がトロトロしていますね。スベスベ、ヌルヌルしていて、まるで化粧水みたい! これは美肌の湯だわー」。テレビの温泉番組などで、タレントやレポーターが、こんなコメントをしているシーンをよく目にする。

 

「トロトロ」「スベスベ」「ヌルヌル」といった表現は、温泉の特徴をレポートする際によく使われる。おそらく視聴者に、温泉のよさを伝えるためなのだろう。そのような表現が本当にふさわしい温泉も存在するが、実は、めったに存在しない。


 温泉番組の中には、ほとんど特徴のない泉質であったり、循環ろ過して湯を使い回したりしているにもかかわらず、タレントやレポーターに「スベスベになりますね」と言わせているケースもある。


 個性的な濁り湯であるならまだしも、ビジュアル的に見栄えのしない透明湯だと温泉のよさを伝えるために苦心するのはわかる。制作サイドの意図は理解できなくもないが、その温泉に入ったことのある私は、「そんな肌触りはしなかったぞ!」とテレビに向かってツッコミを入れたくなる。

 

 

■正真正銘の「美肌の湯」

 しかし、まれにだが、「トロトロ」「スベスベ」「ヌルヌル」といった表現がぴったりの温泉に出くわすことがある。熊本県北部の山鹿市に湯けむりを上げる「平山温泉」もそのひとつ。平山温泉の泉質は、トロトロ、スベスベ、ヌルヌルとした肌触りが特徴だ。やわらかな泉質から「美肌の湯」「美人の湯」とも呼ばれる。


 1300年前から湧き続ける平山温泉は、湯治場の雰囲気をもつ温泉地だが、近年では、その独特な泉質が評判を呼び、女性客を中心に人気を集めているという。熊本県といえば、黒川温泉が有名だが、「第2の黒川温泉」と評する人もいるほど。


 1990年頃は数軒の宿があるのみの小さな温泉地だったが、現在では10数軒の温泉宿や施設が営業している。全国的に温泉地の衰退が目立つ中で、平山温泉は成長しているのだ。


 一方で、過度な開発がされずに、長閑な雰囲気を今なお残しているのも平山温泉の魅力だ。田畑が広がり、昔懐かしい風景が広がる。


 私が平山温泉を訪ねたのは平日だったが、周辺の他の温泉地に比べて観光目当ての入浴客が明らかに多い。女性が好みそうな洗練された建物や設備を備えた温泉施設が多いのも人気の秘訣なのだろう。

 

 

■石鹼水に浸かっているかのよう

 そんな温泉地のなかで異彩を放っているのが、江戸時代からこの地に湧くとされる大衆浴場「元湯」。かつては「平山温泉センター」の名で、築数十年の建物がひときわ鄙びた雰囲気を醸し出していた。

 2016年に全面リニューアルされ、「元湯」と名称も変わったが、平山温泉らしい湯を楽しめる日帰り施設として地元客の人気を集める。


 内湯には、熱めの小ぶりの湯船と適温の大きな湯船が2つ。さらに岩づくりの風情ある露天風呂まである。カランの栓を開くと、甘さを感じさせる硫黄が香る。カランからも温泉が! 贅沢である。


 湯船を満たす透明湯は、もちろん源泉かけ流し。その肌触りは、正真正銘のトロトロ、スベスベ、ヌルヌル。まるで石鹸水の中に浸かっているかのようだ。湯船の中で軽く肌をこすり合わせると、その不思議な感触を体感できる。


 湯上がりに、脱衣所に掲示された温泉分析書を確認すると、pH9.6のアルカリ性単純温泉という泉質。アルカリ性の湯には、いわゆる「美肌の湯」が多いとされる。


 平山温泉には魅力的な旅館が多いが、いずれもまるで肌の上にもう一枚薄い膜をまとっているような不思議な入浴感である。こんな個性的な湯であれば、きっと温泉をレポートするタレントさんも、表現に困ることはないだろう。

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