読書の醍醐味の1つは、自分と異なる世界に生きる人の
生き方や考え方を楽しめること!
それが想像もつかないことだったり、
意外性や目新しいものだったりすると、なおさら興味が増します。
今回紹介するのは、経営者やリーダーの皆さんにとって、
まさにそんな一冊となるはず。
です。
著者の反田恭平氏は、2021年に第18回ショパン国際ピアノコンクールで、
日本人として51年ぶりに2位となる快挙を成し遂げた、話題の音楽家。
人気TV番組『情熱大陸』にも何度も出演しているので、ご存知の方も多いかと思います。
そして、より注目すべきは、現役のクラシック演奏者でありながら、
経営者としての顔を持つ、異色の存在であることです。
本書は大きく分けると、2つのパートから成ります。
前半の第1章から4章までは、反田氏のこれまでの歩み。
後半の第5章以降は、主に経営者としての反田氏を軸とした構成になっています。
まず、反田氏は幼少時からピアノの英才教育を受けて育った、
一般的なクラシック演奏者とは大きく異なる育ち方をしています。
両親が音楽家だったわけでもなく、11歳まではサッカー中心の日々で、
ピアノは趣味だったとのこと。
本格的にピアノに取り組んだのは、それ以降で、明らかに遅いスタートと言えます。
ちょっとヤンチャな中学や高校時代の話を経て、
チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に留学した時のエピソードは、
極めて興味深いところ。
現代ピアノ界における世界最高峰たるロシアのピアノ教育とは、いかに?
実際に経験した人しかわからない話ばかりで、見逃せません。
そして、後半では、経営者としての反田氏の仕事ぶりや
考え方、これからの構想や計画が!
リーダーとして先見の明が感じられるエピソードを1つ紹介します。
反田氏はコロナが世界的に広まり始めた段階で、危機を察知。
まだ緊急事態宣言が発令される前に、日本のクラシック音楽界では前例のない、
有料でのオンライン・コンサートを実施。
逆風の中、2,000人以上もの視聴者を集める成功を収めました。
「クラシック音楽業界にDX革命を起こす」べく、
日本初のオーケストラの株式会社設立を始め、さまざまな取り組みを行っています。
旧態依然としたクラシック音楽業界に風穴を開けていこうとする姿は、
日々、現状打開と向き合う企業の経営者に大きな刺激とヒントになるはず。
ビジネス書の棚にない本ですから、
よほどのファンでもない限り、本書を手にとることはないでしょう。
しかし、これほど面白くて有益な本は、そうそうありません。
異色づくしで、これぞ、掘り出し物!
これから先を見据える上でも、今すぐ読んでみてください!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『Two Pianos』(演奏:反田恭平、務川慧悟)/amazonへ
です。
本書にも登場する盟友、務川慧悟氏とのコラボ作品。
反田氏が大手のコロンビア・レコードとの契約を継続せずに、
自ら立ち上げたNOVA Recordからのアルバムです。
反田氏の起業家精神を味わうべく、本書と合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。