年齢を重ねると聴覚が衰える「加齢性難聴」が知られています。身の回りにも、音は聞こえるものの、相手の話す言葉が聴き辛くなっている高齢者が一定の割合でいらっしゃることでしょう。
このような比較的軽度の難聴の場合、専門店で補聴器を誂えるほどの動機には至らず、少し不便を感じつつも、日常を過ごされている方が多いようです。
しかし、近年はワイヤレスイヤホンが普及し、その延長線上で、聴こえを補助する機器が続々と登場して注目を集めています。電器店や通販などで簡単に購入でき、価格も比較的手頃など、手軽さが受けているようです。
今回は、中高年層の日常を快適にしてくれる可能性を持つイヤホンをご紹介します。ビジネスコミュニケーションの高効率化にも役立つかもしれません。
■聴こえを補助するイヤホンとは?
製品としては、集音マイクとイヤホンで構成され、マイクで拾った音を増幅してイヤホンから大きな音で聴くという仕組みです。感覚としては「耳を立てる」のに似ているかもしれません。
また、音をより聴き易くする機能も。「加齢性難聴」は高い音が聞こえ難くなる傾向があり、一般的には、高域音を中心に増幅します。また製品によっては聴覚テストを行って、利用者それぞれに最適化する機能を備えている場合もあります。ほか、音を伝達する方式として「骨伝導」タイプもあり、これは鼓膜の空気振動に頼らない方法で、難聴のタイプによっては聞こえを大幅に改善できるケースがあります。
■製品例のご紹介
ここでは、いくつか具体的に製品をご紹介しましましょう。
1) トライヒア「Trihear convo」 https://trihear.jp/
【写真】Trihear convo。シンプルな集音機。左はワイヤレスマイク。(筆者撮影)
スマホ不要で、独立して使用できるシンプルな集音機です。
本体に内蔵のマイクが周囲の音を集音。イヤホンからの音は、本体の左右それぞれにある音調+/-ボタンで直感的に調整できるなど、シンプルで使い易さを重視しているのが特徴です。
加えて、ワイヤレスマイクが付属。このマイクを話し相手やテレビといった音源の近くに置いておくと、小さな音も明瞭に聞き取ることができます。
2)Victor「EH-W10」 https://www.victor.jp/voicereceiver/lineup/eh-w10/
完全ワイヤレスイヤホンタイプで、ケーブルに縛られない快適さ、イヤホンと見分けが付かない外観が特徴です。スマートフォンと組み合わせて利用でき、また、専用アプリで聴覚テストをして聴こえの最適化も可能です。
3)シャープ「メディカルリスニングプラグ」 https://jp.sharp/mlp/
今回の主題のイヤホンではなく、医療機器認証を受けた、軽度難聴~中等度難聴向けの補聴器です。
見た目がイヤホンに近く、補聴器でありながら、自宅で専門家のサポートを受けることができ、フィッティングに関する時間や費用を節約できる点で新しい製品(サービス)と言えます。
■さいごに
高齢者人口は増加傾向にあり、また長寿命化で、「聴こえ」の補助を必要とする方は今後も増えると考えられます。「聴こえ辛くなる」は当然の現象として受け止め、補助機器を活用することで、生活の質を向上したり、コミュニケーションを円滑にするという考え方は、今後、広がって行きそうです。