川京(島根県)
2012年は食べログを悪用した「ステマ」業者の話題が勃発した。食べログは店を利用した消費者と店と第三者を共通の価値観で結ぶ優れた面があり、売り手が都合の良い情報を上から下に流す従来のメディアのPR活動とは違う。インターネットやスマートフォンの普及による情報の大衆化の時代にふさわしい価値観が共有できるメディアのように私は思っている。
さて、そんなおり、島根県松江市にある食べログの点数が4点を超える店、を訪れることになった。今日は、その店からの学びを見てみよう。
店は、松江大橋のそばの飲食店が並ぶ街並みにひっそりとある。
外観は地方にある郷土料理店らしい店。ただし、この店が目的でないと通り過ぎてしまうかもしれない。意識していればうなぎのマークに川京という看板が目立っている。
店内に入ると、年季の入った雰囲気でカウンターの存在感がある。印象的なのはカウンターの上に貼ってあるPOP。いかにもこだわっているということが伝わってくる。味のある絵、文字が手作り感を伝える。
しかし、この店は見せ方だけでは無い。とくに、メニューブックの作り参考になる。手作りのメニューブックなのだが、材質感を出しすぎないよう工夫し、気軽さを演出している。じつに上手だ。
店全体のコーディネートも、絶妙かつバランスよく、センスが非常にいい。これは個人経営の手本だ。この段階でも見る価値ある。
川京は、宍道湖の食材を使った郷土料理「七珍料理」を非常に高いレベルで出す。まず、最初に提供されたのは「はぱりぱりわかめ」、そして、刺身の盛り合わせが出てくる。
そして、「名物うなぎのたたき」が提供される(下図・左)。白焼きにしたうなぎと秘伝のタレで味付たそうだ。言葉で言うと、そんなに思わないかもしれない。しかし、この料理にはこの店にしか味わえないオリジナリティがある。「こういう商品開発する人がいるんだな・・」そう思わずにはいられない。
ただ、ただ、驚きくばかりだ。
続いて、松葉ガニが提供される。日本酒が飲みたくなり、注文。
そして、また名物が出る。「お助けしじみ」というネーミングの商品だ(上図・右)。
「宍道湖のシジミの旬は二度あり、夏の土用シジミ、今は寒シジミ」と説明しながら、あんかけのインパクトのあるシジミ料理がアツアツで提供される。寒シジミは少し小ぶりな印象だが味はいい。そして、このタレがうまい。
いやー、まいった。
そして、コースの二皿目の刺身が提供される。
一皿で出さないのもサプライズの演出なのか?これは、三ツ星レストランレジス・マルコン級のサービスだ。
カワエビが続く。これがモロゲエビか手長エビになる。食感がすばらしー!
私はドリンクの名物しじみ焼酎を注文した。商品づくりがうまい。
思わず写真に撮りたくなるメニューばかりだ。完成品からデザインした料理が多い。
メインは七珍料理のひとつ鱸の包書焼きだ。地域の料亭でもしっかり予約しないと出し切れない、この料理をこのコースの値段で出すのはただただ驚きだ。
宍道湖の鱸はふっくらうまいです。
最後に〆。さきほどのシジミがおじやだ。これもうまい。付け合せの津田蕪の漬物もうまい。
40年変わらないために変化し続けた店ですね。
食べログの4点以上の破壊力はすさまじかった。
ただただ、茫然・・
これ、ステマとは無縁なり。
この店に行けば、40年お客様を魅了しているヒントが満載だ。
わざわざ行く価値があると思う。