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第177回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方99「聴覚情報―『感じの良い挨拶と返事』と『品格を伝える言葉遣い』

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

 前回は、教えるときに上手く相手に届くポイントから「視覚情報―『組織人としての身だしなみ』と『魅せる所作』について」お話しました。今回は「聴覚情報―『感じの良い挨拶と返事』と『品格を伝える言葉遣い』について」お話します。

 「感じのよい挨拶」に欠かせないのが、まず「明るく」です。相手にその明るさを伝えるにはどういうところに気を付けると良いか考えてもらってください。「私は明るい挨拶をした」つもりであっても、それが「必ず明るく伝わった保証」にはなりません。では、どうしたらよいでしょう。

 笑顔とともに挨拶をすると、その声は明るく響きます。(笑顔については、前々回にふれています)答は簡単、笑顔がポイントです。真顔と笑顔のご自分の顔を思い浮かべてみましょう。何処が違うでしょうか。

 違いは口角です。笑顔のときは口角が上がっています。口角が上がると口腔内の上部の奥の柔らかい部分、軟口蓋(なんこうがい)が引き上げられ、声が反響しやすくなり、声のトーンが明るくなります。 口角が上がりにくいようでしたら、「バナナの謎はまだ謎なのだぞ」を早口で3回続けて言う練習をお勧めします。口の周りにある口輪筋が動きやすくなるので是非試してみてください。

 次は「先に」です。挨拶をするのはされてからより相手より絶対先に発信しましょう。人の欲求の中には承認欲求があります。それが満たされると人は嬉しく感じます。最後に「工夫して」です。挨拶言葉の「おはようございます」だけよりさらに一言を付け足す工夫をすると、会話が一往復から二往復に変わります。

 会話のキャッチボールの数に比例して、お互いの心の距離が近づきます。その意味の「工夫して」です。自分からの「おはようございます」に相手からの「おはようございます」でその瞬間にパチンと言語結合作用が起こります。そこに畳みかけるように自分から例えば「今日は良いお天気ですね」と笑顔で言うと、とても自然な流れで相手から「そうですね」と言語結合作用の二回目が起こるのです。「工夫して」に考え込んでしまうと第一声のおはようございますの「明るく」がすっかり影を潜めてしまいます。その意味ではお天気のことを言うのは「工夫して」の一言に慣れるまでお使いくださるとよいでしょう。

 挨拶が上手く言えたら、返事も上手く言いたくなりませんか。これにも相手の心に届けるポイントがあります。まず、返事ですから、呼ばれて「すぐに」は必須です。教える相手にあなたの名前を二度呼んでもらってください。

 あなたは、一度目「すぐにハイ」を言い、二度目は二、三秒あけてから「ハイ」をお願いします。どちらが言ってほしいタイミングの返事でしたかと結果を確認するだけで終了です。次に続けてあなたの名前を二度読んでもらいます。一度目あなたは無味乾燥な言い方で「ハイ」を言ってください。「ハイ」の語源は「拝」からきていると言われています。二度目あなたは「拝」の気持ちを込めて「ハイ」と言ってください。自然と音声表現が丁寧になると感じるでしょう。念のためどちらが気持ちの良い「ハイ」であったか、相手に感想を求めます。

 最後は「アイコンタクトを取りながら言う」です。またですかと思われてもあなたの名前を二度呼んでもらいます。一度目はアイコンタクトを相手に取りながら、二度目はアイコンタクトを取らずに「ハイ」を言います。そして今回も相手の口を通して言葉にしてもらうことで、相手は答えに納得し、実践に繋げることが出来ます。

 感じの良い返事の仕方は、「すぐに」・「ハイの音声表現は『拝』をイメージして丁寧に言う」・「相手の目を見ながら言う」を出来るだけ「同時」に言うことをお伝えてください。

 

 
「品格を伝える言葉遣い」

 引き続き聴覚情報としての言葉遣いです。ビジネス・マナーの中で一般的に、『言葉遣いは社格をアップする』と言われています。
突然ですが、皆さんはイギリスの大女優オードリー・へプバーンの左記の名言をご存じと思います。

  「魅力的な唇であるためには、
   美しい言葉を使いなさい。
   愛らしい瞳であるためには、
   他人の美点を探しなさい。」

彼女は1929年、イギリス生まれの大女優です。

「この名言に出会えて良かった」と心から思える言葉で、出会えてから私は、ずっと大事にしています。
 当たり前のことですが、人は人とコミュニケーションをとるのに言葉を使います。「敬語」は、相手を心から大切にする言葉です。敬語には、尊敬語(相手を立てて言う言葉)と謙譲語(へりくだって相手を敬う言葉)があります。いずれもポライトネスを相手に伝えられますので、敬語は敷居が高いと嫌煙せずに皆さんどんどんお使いになってください。

 参考に掲載した表1は8つの基本動詞の尊敬語と謙譲語です。ご覧の通り、学生時代にすべて学び終わっていらっしゃるでしょうし(この表は交換形式です。「聞く」の尊敬語が交換形式はないので斜線が引いてあります。斜線の上に付加形式の「お聞きになる」を入れてください)、筆記テストなどでも高い点数をお取りと拝察いたします。ただ皆さんはまだ活字の上での知識であって、音声表現としては使い慣れていない段階です。

 このとき効果のある学び方が、2点あります。一点目、先輩たちがお使いの敬語・謙譲語を耳で学んでください。ダンボのように耳を大きくして耳に聞こえた敬語はすべてメモしてください。皆さんの会社で使われている敬語をせっせと収集します。二点目、表には1―①、1―②のようにそれぞれの例文をあげております。それらの下に自社で使える言葉の例をお書きいただければ、身近で暗記用センテンスとして大変有効です。朝礼を利用して全員で唱和するのもよいですね。

 特に新人さんにとって使いにくいのが社内の人だけで話すときは先輩・上司には尊敬語を使うので老いのですが、私・上司・お客様での会話の場合、尊敬語を使う相手は『お客様』に変わります。即スイッチを切り変えないと、『お客様』から言葉遣いが間違っているというクレームが発生してしまいます。私は新人研修では、新人さんが入社五日目くらいとわかると、社長さんのお名前を伺って(例えば社長が松尾さんでしたら)「社長の松尾はあいにく外出いたしております。午後3時に帰社予定ですがいかがいたしましょうか」のセンテンスで社長であっても呼び捨ての表現が正解ということに慣れていただきます。

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