11月になりました。つい先日まで猛暑でフーフーと言っていた記憶があるのですが、いつの間にかコートが必要な日もある気候になっています。時間が経つのは早いなあと、毎年この時期になると思います。
さて、私は改善指導を依頼されると、最初に社長からその職場の方まですべての方たちに参加して頂いて「KZ法」を実行します。
KZ法は別名「経営を変える5S」といい、みんなが現場でワイワイガヤガヤと声を出しながら整理活動を行い、そこから全社的な問題点を発掘する手法です。
そのKZ法から得られる成果の一つが、今回のタイトルにある「一か所に集めると問題は顕在化する」ということです。どういうことか、指導先の事例を挙げて、さらに詳しく述べていきます。
先月、群馬県のK社G工場で久しぶりにKZ法を実行しました。G工場で最後にKZ法をやったのは5年前ですから、本当に久しぶりです。
当時と比べると改善レベルは大きく向上しているのですが、生産する品種もかなり増え、金型など生産にかかわるモノも大幅に増えたので、ラインサイドは満杯でせま苦しい印象でした。
当日は、社長や私も含めた全参加者20人が一人当たり30枚、合計600枚のカードを持ち、G工場内の一か所で一月以内に使わないモノにカードを貼りました。
カードは一枚残らず貼るのが決まりですから、全員が目を皿のようにして現場のモノを見つめて、貼っていきます。そして、カードが貼られたモノを現場の一か所に運びます。
600ものモノが一か所に集まりますから、それはそれは大量です。似たようなモノは近くに置くように決めてありますから、改めて見てみると、工具やオイル、あるいはボルトナットのような似たものが何ともたくさんあることが一目で分かります。
あるいは、金型のような大きなモノで一月以内に使わないモノがたくさんドカンと並んでしまったので、誰もが驚きました。
そこで私は、「これらのすぐに使わないモノはすべて捨てることにします。困る方がいらっしゃったら捨てないようにするかもしれませんから、教えて下さい」と声を出しました。
すると当然ですが、「これは明日使うモノだ」とか、「この金型は捨てられない」という声が上がります。私はそれらをすべて聞いて、その通りだと思えば「ではそれは元に戻してください」と返答します。
しかし、確かに声がかかったモノはありますが、実はごく一部でした。ほとんどのモノには、声がかかりませんでした。
これはどういうことでしょうか? 実は、「私にはこれは不要だけれども、きっと誰かが必要なのだろう」と全員が思っているということです。すなわち、誰もそれを必要としていないけれど、そのことに誰も気づけないのです。
そういうことですから、G工場でもこれまで不要品とは気付かなかった大量のモノを廃却したので、せま苦しかったラインサイドが急に広々となりました。
そうなってしまえば、金型などもごちゃごちゃだった元の位置に戻す必要はありません。すぐ使うモノは近くに、そうでないモノは奥の方にというように、自分たちの使い勝手で場所が決めることができました。
G工場では、不要品の存在でラインサイドが混雑しているのを解決できず作業能率を落としていました。しかし、わずか3時間でラインサイドがすっきりし、同時にモノの買い方などの新しいルールも生まれました。
風邪が流行り始める季節です。お互い予防に努めて健康で頑張りましょう!