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製造業

第300号 5年先を意識した改善

柿内幸夫─社長のための現場改善

 新年おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
 
 本号は今年の第一回目ですので、今年このコラムでお話ししたいことを書かせていただきたいと思います。
 
 昨年から指導先や講演会の場で言い続けているのですが、これからは目の前のことだけでなく、5年先のことを意識して改善をする必要が出てきます。それは東京オリンピックという大きなイベントがもたらす変化があるからです。
 
 どういうことかと言うと、2020年の東京オリンピックまではいろいろな形で投資が続くので景気は維持されると思います。しかしその間、日本の人口は減り続けるのでマーケットは更に小さくなっているし、現在働いている方々が高齢化して退職された後の補充が極めて難しくなることも考えられます。
 
 すなわち、目の前の忙しさに追われてその先に起きる変化に対する準備をしていないと、オリンピック終了後に顕在化する「大きな変化」に、慌てることになる可能性が高いと思うのです。
 
 もちろん、現在にないことで5年後にできるようになっているグッドニュースもたくさんあるには違いないのですが、それはまだ見えていないことですから、それをアテにして経営をすることはできません。
 
 これから先に何が起きるかは分からないことがとても多いです。例えば、突然地震が起きたり病気がはやったりということは、必ずしも予測はできないでしょう。しかし、ビジネスにかかわることは、かなりの部分がはっきりと分かっていることが多いと思います。
 
 例えば、先に述べた日本の人口減少です。わずか5年の間に、出生率が大幅に高まったり移民制度が始まったりということは、まず、ないからです。
 
 ですから、今年するべきことは、毎日の生産の達成はもちろんですが、それに加えて、5年後に起きる大きな変化が何であろうとも、きちんと利益を生み出せるモノづくりの構築を始めることです。
 
 人が減っても今と同じ量の生産が同じ時間でできるような生産性向上。直接部門だけではなく間接部門もすべての仕事で生産性を5年間で倍にしましょう。そのためには設計も変えるし、システムも変えるし、現場改善のスピードも変えるし…といった大きな、そして幅広い改善に着手したいものです。
 
 マーケットが小さくなっても売り上げを減らさないためには、まずはお客様のニーズに合った商品やサービスの開発が大切でしょう。
 
 何十年も前の話ですが、高度成長期には待っていれば注文が来るといった状況がありました。現在ではそういうことはほとんどなくなっているのですが、系列に入っていたり、下請けである企業にはまだそういう姿勢が見られます。
 
 ただ困っていても何も変わりません。やはり自ら進んで無いモノを作り出すことが必要な5年間になることを覚悟することが必要です。
 
 では、最後にそれをどうやって実現するかです。
 
 私が提案する方法は、KZ法やチョコ案の実行です。すなわち、ワイワイガヤガヤの全員での「知のすり合わせ」の実行をこれまで以上に力を入れて実行してほしいのです。
 
 なぜならば、私が言っていることは「考える」ことで初めて実現できることだからです。それぞれの役割を持つ人が責任を背負って結論を出すことは必要ですが、それだけでは苦しいです。
 
 みんなが現物を前にして、自分の役割を語り合うようなことを通じて、「考える」力と「改善を実行する力」は大きく育ちます。能力向上はみんなでやりましょう。
 
 会社のみんなが自分のかかわるところを変え続けることから始まって、5年後にみんなで大きな変化を起こせるようになることです。社員全員がひと月に一件の改善を必ず実行することをお願いします。マネでもメンテナンスでも何でもいいですからね。
 
 新年の第一号が300回目という区切りのいい号になりました。この連載も13年目になるということです。
 
 これもひとえに読者の皆様のおかげです。いつもお読みくださり誠にありがとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
 
 
 

300.jpg

copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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