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経済・株式・資産

第147回 労働集約型にもかかわらず、人手不足、人件費高騰下でも着実な利益成長「エイジス」

深読み企業分析

エイジスは小売業の棚卸代行サービスを請け負う会社である。つまり、期末の棚卸を小売業に代わって行う業務であるが、当然、労働集約型のビジネスであることが想像できよう。多くの労働集約型のビジネスはコロナ禍以降の人手不足、かつ人件費上昇で厳しい状況にあることもある程度周知の事実である。

そんな中で、一見、どのような付加価値を生んでいるのかなかなかイメージしにくい同社であるが、直近の決算(2025年3月)でも営業利益率は8.9%と高水準である。しかも、これは連結ベースであり、新規事業や海外への展開など現時点においては採算性の低い将来ビジネスへの先行投資的な費用も含むもので、メインビジネスのリテールサポートだけに限れば、営業利益率は10.9%と二けたに乗せている。しかも、利益自体もコンスタントな成長を遂げている。図にあるように2度ほど大きく収益が悪化する局面はあったものの、この2期間は前者がリーマンショック、後者はコロナである。つまり、そのような大事件が顧客のアクションに影響を与えるような局面以外は順調な成長を遂げてきたということである。このように労働集約型で、ブランド価値も構築しにくいビジネスで、安定的な成長、かつ高利益率を達成する企業を探すのは難しいものである。

同社が高収益を上げられる要因の一つは80%近いと言われるシェアの高さがある。しかし、それだけで高収益を説明するのは難しい。なぜなら、いくらシェアが高くとも高収益であるなら顧客が自ら行う道を選んでも全くおかしくはない。しかし、棚卸に関しては、一部の例外を除いて、大手企業でも大方同社を利用している。それではいったい同社の付加価値はどこにあるのだろうか。

同社の最大の強みは業務自体の徹底的な数値管理を行っていることではないかと考えられる。同社によれば、同社は商品個数、SKU数、稼働時間、業態を元に棚卸作業を完結させるために必要な作業量を1店単位で算出しているということである。そのようにして、個人別カウント個数の時間当たりのあたりの生産性をはかっているのである。

そして、業態ごと、チェーンごと、店舗ごとの坪数、個人別生産性の過去データを元に、作業計画と、適切な目標数値を1店ごとに設定している。目標P/H(1時間当たりのカウント個数)が数値として個人・チーム別に与えられ、その達成度によって評価が変化し、報酬に直結する。このように業務自体を徹底的に数値化することで、改善点などを見つけ出して改善し、生産性を継続的に高めているのである。まさに、この個人生産性が数値化されないと生産性は劇的には向上しないのであるが、同社はそれを成し遂げていると言えよう。

仮に巨大なチェーン店が自社でこれらを行おうとしても、年に数度しかない作業のためにわざわざ数値化するためのソフトや装置を導入するのはコストばかりかかるものである。しかも、巨大であればあるほど、ある時期に集中しようとすれば、数えきれないほどの人員が必要となる。しかも、それ以外の次期には不要となる人員をその時期だけに集中して集める必要がある。しかし、同社であれば、全国に店舗網があり、十分な人員がコントロール下にある。

このような状況が成り立つためにはひとところに立ち止まらず、絶え間なく生産性を上げる努力をする必要があるが、同社にはおそらくそのような作業を継続する文化が根付いているのではないかと考えられる。

有賀の眼

世の中は今、様々な分野でDXが行われ、そこに当然のようにAIが活用されるようになってきた。今まさに、AI+DXが企業の在り方、そこで働く従業員の在り方を劇的に変えようとする時代に入ってきた。その時に、同社のような、労働集約型の企業がAI+DX時代にその機能をフルに活用しようとしたときに、まさに同社が長い歴史の中でこれまで蓄積してきたさまざまな数値が効果を発揮すると考えられる。

この様々な人間の行動の数値化こそAIにとってはかけがえのない教材である。仮にAIを導入して生産性を高めようとしても、元となる数値の蓄積量が少ないと、まずは数値化の範囲の拡大から始めて、蓄積をしなければ、AIのベースとなる実例がないところからスタートしなければならない。

その点を考えると、これまでもコンスタントな成長、コンスタントな高収益を上げてきた同社であるが、むしろAI時代を迎えて、その恩恵をフルに享受するようになるのではないかと期待するところである。

 

 

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