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- 第21回 顧客の声やアンケートを「金科玉条」にせず、分析する事
「 東日本大震災 」に依って未だに「 避難施設 」での生活の方々に心より御見舞申し上げます。
さて、今回はフェーズ3「 顧客の声を知る 」の第四の項目『 顧客の声を「金科玉条」にせず、分析する事 』のお話を致します。
現在、未だに発生している地震の為に首都圏の新規マンションの建設工事がかなり遅れています。中には、販売員に尋ねても竣工日は未定で2ヶ月ほど延期になりそうです…との回答が返ってきまして、購入予定者も入居がいつになるか分らなくて戸惑っている状況です。
その様な状況下で販売事務所・モデルルームに足を運んでくださる来訪客は貴重な存在です。その様な方々はかなり購入意欲が有りますので、是非とも物件に関する生の声を聞いたりアンケートに記入して戴き今後の物件に反映させるのが大切だと思います。
生の声を聞くにはマンツーマンで顧客に販売員が同行して、ちょっとした意見も必ずメモする事です。
また、顧客にアンケートに記入してもらう際にも、販売員がアンケートの各項目を判り易く説明して記入して戴くと効果があります。
今回の本題は上記のメモやアンケート内容をどの様に生かしていくかを御説明致します。
顧客の声のメモやアンケートを書いて戴いた後で、氏名・年齢・現住所・家族構成・職業・勤務先・年収やこの物件の販売事務所・モデルルームに来訪した理由は必ず聞いて記入して下さい。
これらのデータを年代別、家族構成( 家族人数、家族各々の年齢 )別、現住所( 沿線 )別、職業、勤務先( 場所や上場企業か否か等 )別、年収別やこの物件の販売事務所・モデルルームに来訪した理由別に振り分けて集計分析を致します。
この様にして集計分析して出た結果は非常に貴重です。
例えば、この物件の平均価格が1戸当り平均4000万円だとして年収400万円の方の意見やアンケートはこの物件ではほとんど参考になりません。理由は顧客が年収の10倍の販売価格物件の販売事務所・モデルルームに来訪されても、購入は特別な場合を除いてほとんど無理です。ただ、年齢別、年収別、家族構成別や沿線別の意見としては使えます。悪く言えば「 ひやかし 」気分でお土産目当てに来たとしか思えません。
大変参考になるのが、来訪顧客の年収5~6倍が販売物件の価格の場合です。更に参考になるデータは来訪者の住所が物件の沿線の場所です。
これらの方々の意見やアンケートは購入意欲が高いので、真実味を帯びています。とても貴重です。
逆にこれらの方々以外の意見やアンケート回答は私の経験では、この物件ではあまり役に立ちません。せいぜい、良い事は顧客リストの人数が1人増えた程度です。
ここで一言。顧客リストも現住所( 沿線 )別、年齢別、家族構成別、年収別や来訪日別に分けて置く事は大事な資料になりますので是非これも実行して下さい。
この様な事は面倒で細かな作業ですが、次に売り出す物件の商品企画や販売戦略を作る時にはこれらの細かなアイテム別のデータがとても役に立つのです。
財閥系ディベロッパーの中には、この様に顧客の声やアンケート回答を細かく分析し、次回の物件に反映させていますので、現在でも販売状況が良いのです。
中堅ディベロッパーも是非見習って欲しいと思います。
以上
碓井民朗